如月 文実(きさらぎ ふみじつ)です。おとぎ話その2 3作品を投稿いたします。

 わが、四コマ物語ワールドにようこそ。作家としての人格、如月 文実(きさらぎ
 ふみじつ)です。
 今回の四コマ物語は、以下の3作品です。

おとぎ話
如月文実
 この四コマ物語は、おとぎ話を四コマ物語の形式にて表現したものです。

  カラの夢
 (1) カタツムリのカラには、ひとつ大きな夢があった。それは、海に行くこと
であった。そもそも、貝と言う物は、海に生まれ、海にて生活する生き物であった。
それに、海には、いろいろな形をした仲間がたくさんいるときく。そんな仲間とあっ
て、いろいろ話をして見たかった。しかし、いくらお願いしても、カタツムリ本体は
、「うん」とは言ってくれなかった。塩の水を浴びると、体が溶けて死んでしまうか
らだ。なら、せめて浜辺の所まででいいと言っても、本体はやはり、「うん」とは言
ってくれなかった。浜の風にも、浜辺の砂にも、塩分が含まれており、体に悪いと言
うのだ。カタツムリのカラが、他の種類の貝と合うとすれば、川の岸辺や池のタニシ
ぐらいだった。
 (2) やがて、カタツムリの本体は死に、カラだけが残った。カラだけでは身動
きができない。それっきり、カラは、タニシとも合えなくなっていた。そんなある日
、カタツムリのカラの前に、マイマイカブリと言う昆虫が現れた。マイマイカブリ
、カタツムリの本体をエサとする昆虫である。カブリは、てっきり、本体がいると思
い、カラの中に頭をつっこんだ。次の瞬間、カラは、その入り口を狭め、カブリの頭
を挟みつけた。びっくりしたカブリは、必死になって頭をぬこうとしたがぬけない。
必死にもがいているカブリに、カラは、「海につれて行ってくれれば、離してやる」
と、条件を出した。カブリは仕方なく、カラの言うとおりにすることにした。
 (3) さすがのマイマイカブリも、海の中まで行くことはできない。それでも、
浜辺までたどりついたので、カタツムリのカラは、カブリを開放してやることにした
。そしてカラは、潮が満ちてくるのを待った。潮が満ち、並の流れを利用して、海の
中に入ろうと言う作戦であった。やがて潮は満ち、カラは念願の海の中へと入ってい
った。中に入ると、偶然、カタツムリのような形をしているが、本体が堅く、すばし
っこい動きをする生き物に出会った。それは、ヤドカリであった。ヤドカリは、カラ
に、自分の住み家になってくれないかと頼んだ。これにたいし、カラは、海の中の、
いろいろな所に連れて行って、他の貝と話をさせてくれるのならと、条件を出した。
こうして、賃貸契約が結ばれ、ヤドカリは、新しい家を手に入れた。カラは、ヤドカ
リに連れられ、いろいろな貝と友だちになることができた。
 (4) やがて、沈滞契約は終り、カタツムリのカラは、海の底で身動きできない
状態となっていた。しかし、念願は適ったし、周囲には、友だちとなった、たくさん
の貝ガラもいるし、後は、化石となって、周囲を静かに見守ることにした。

  クモの繭
 (1) 桑の木に、巣を張っている1匹のクモがいた。そして、その近くの葉には
、1匹のカイコがいた。クモは、このカイコが、うまく自分の巣に落ちてくれないか
と願っていたのだが、なかなかそうはいかない。そのうち、このカイコは、口から糸
を吐き出した。クモも糸を出すが、それはおしりの方からである。それに、クモの糸
は、巣を作るためだが、カイコの糸はそうではない。やがて、カイコの糸は、自分の
体をおおい、繭となった。このクモは、カイコの繭を見るのは初めてだった。それだ
けに、この繭が後にどうなるのかが興味深かった。
 (2) それから何日か立ったある日、カイコの繭は、内から破れていった。そし
て、中からガが出てきた。ガは、羽を乾かした後、クモの巣にも引っ掛からずに、空
を自由に飛んで行った。クモはこの光景を見て、深く感動していた。あのカイコが、
自分の吐いた糸の中でじっとしているだけで、空を自由に飛べる、ガになるとは。そ
してクモは、カイコにあやかり、自分も繭を作り、飛べるようになろうと決心した。
 (3) クモは早速、おしりから糸を出し、カイコのまねをして、繭を作り始めた
。何分、初めての試みであり、カイコとは糸の成分も違うので、最初はなかなか、う
まくいかなかった。しかしそれでも、カイコの物と比べ、少しぶかっこうだが、繭は
完成した。後は、その中で、体が変化するのをジッと待つばかりである。クモは、羽
はえて、空を自由に飛べることを夢見た。
 (4) それから三日後、クモの繭が、内側から破れて行った。そして、中から、
三日前と、形は同じだが、かなりやせたクモが出てきた。勿論羽もはえてはいない。
三日立っても、ぜんぜん体に変化がなく、また、あまりにお腹がへったので、たえき
れず、繭を食って中から出てきたのだ。

   石油ガニ
 (1) 日本海に住むカニタチガ一番恐れている物、それは天(海面)から降りて
くる巨大な海棉(網)だった。この海棉は、広い範囲で海底に根を張る。そして、多
くのカニたちを捕らえる。捕らえられたカニたちは逃げることもできず、海棉が、天
に戻る時に一緒にめされていく。そして、めされたカニは、二度と帰ってくることは
ない。この悪魔の来襲のため、仲間の数はずいぶん減った。このままでは滅亡してし
まうだろう。しかしカニたちには、なすすべがなかった。
 (2) ところが、ある日、天にめされたはずの仲間のうちの三匹が、天からまい
もどってきた。なぜ、三匹だけがもどってこれたのか。それは、背中に付いていた泥
のような物にあった。数カ月前、天を走る大きな雲(船)が、海の底に落ちてきた。
そして、中から、黒い雨(石油)を流した。それが三匹の背中にへばりついていたの
だ。



 (3) カニの長老が仲間を集めた。そして、3匹の背中に付いた黒い雨痕を見せ
、こう言った。「これは悪魔から身を守る聖なる水じゃ。みなこれを体に付けるのじ
ゃ」。そしてカニたちは、聖なる水のある雲の所へ行き、ボール状になっていた雨粒
を体に塗り付けた。中にはそれを食べ、体に取り込むカニもいた。
 (4) その後、カニたちは、一度天にめされても、もどってくるようになった。
やがて、天から悪魔の海棉も降りてこなくなった。後にこのカニたちは、「石油ガニ
」と呼ばれるようになり、人間に食べられることなく平和に暮らした。
ーーー 四コマ物語 説明
四コマ物語とは
 (1) 四コマ物語とは、私、如月文実(きさらぎ ふみじつ)が新たに開発した
文学形態(?)です。
 (2) 四コマ物語は、起承転落の4小節からなる小説です。
 (3) 題材は、日常生活のできごと・道端で転がっているような話・スポ−ツ・
社会風刺・おとぎ話・パロディ−などさまざまです。
 (4) みなさんも挑戦してみませんか。そして、001、002と、ネットの中に四コ
マ物語ワールドを作ってみませんか。

 特徴、可能性
 (1) 文が短く、読みやすい・読むのにつらくない。
 (2) その中にもジャンルがいろいろある。
(3) ジャンルの中でもバカバカしいのからシビヤーなものまで、バライティー
にとむ。
 (4) ジャンルがいろいろあり、この先好きなものだけ拾い読みできる。
 (5) ジャンルがいろいろあり、老若男女はばひろく楽しめる。
 (6) 読者自信が自由に新たな四コマ物語のサイトを作ることも可能。
 (7) この形式に当てはめればだれでも簡単に小節が書ける。
 (8) この形式に当てはめて、既存の小説を四コマ物語にすることができる(要
約四コマ)。
 (9) これを元に短編、長編小説を書くことも可能。 
 (10) (4)[落]を組替えることにより小説を改造できる(陰、陽)。
 (11) 将来、俳句、和歌のように、「四コマ物語集」ができるかも?
 (12) 将来、四コマ物語の大きなネットができるかも?