如月 文実(きさらぎ ふみじつ))です。SF四コマその2 4作品を投稿いたします。

わ わが、四コマ物語ワールドにようこそ。作家としての人格、如月 文実(きさら
ぎ ふみじつ)です。
 今回の四コマ物語は、以下の4作品です。

SF4コマ
如月文実
 多くの作家がすなる、SF小説というものを、四コマ物語にて、してみんとてする
なり。

目覚まし時計
 (1) ジリリリリリンと目覚まし時計のベルが鳴る。それが時男の耳から頭の中
へと進入し、時男の意識を叩き起こした。「もう朝か」。あお向け姿勢からうつ伏せ
姿勢へとゆっくり寝返りをうち、時計を見る。時刻はちょうど午前7時。昨夜セット
したとおりである。時男はゆっくりと左手を伸ばし、目覚まし時計のベルを切る。そ
して、一呼吸おいて、モソモソと起き上がった。今日は修学旅行の日、一生に1度の
思い出を作る日である。それだけに遅刻してはたいへんだと、時間が気にかかる。集
合時間は午前8時15分。出発時間は8時30分。家から学校までは徒歩で約10分。荷物
の用意は昨日のうちにすませてある。朝飯を食い、歯を磨き、顔を洗って身支度をす
るだけ。45分もあれば用意は充分。集合時間には余裕で間に合う。
 (2) さっそく用意された朝飯を食う。食い終わって時計を見ると、7時20分。
次に歯を磨いて顔を洗う。終えて時計を見ると7時25分。そして、服を着替え髪をセ
ットし、財布をポケットに入れ、もう1度荷物を確認する。終えて時計を見ると、7
時35分。集合時間の10分前に到着するにしても、30分の余裕がある。あわてる必要は
ない。完璧である。時男は時間との競争に勝ち誇ったように時計を見つめた。そして
余裕のある時間を、わざわざ潰すために、熱いコーヒーを飲もうとウサギとカメの絵
の入ったコーヒーカップを取り出した。時間に余裕を持つということは本当にいいこ
とだ。その分落ち着いて行動できるし、あわてて忘れ物をすることもない。また時間
に遅れて泣きをみたり、ギリギリに来てみんなから批判されることもない。さらに、
そういうやつらを高見で見物することもできる。それにこうしてコーヒーの一杯も飲
むこともできる。時男は、熱いコーヒーをフーフー言いながら飲む。飲みほして時計
を見ると、7時40分。まだ、5分しかたっていない。「時のたつのは遅いものだ」と
、時計を見ながら時男はニヤリと笑った。
 (3) コーヒーを飲み干すと、急にホッとして気だるくなってきた。時男は1度
背伸びをして、少しの間ボオッとした。そしてハッと気を取り直して時計を見た。時
刻は、11時7分。「なにっ、11時7分!」。時男は跳びはねるようにイスから立った
。そしてもう一度時計を見た。11時7分、間違いない。ボオッとしていた数分間は、
実は数分間ではなく3時間以上もの長い時間だったのだ。ボオッとしていたのではな
く眠っていたのだ。取り返しのつかないことをしてしまった。なんのために早起きし
たのだ。なぜ眠ってしまったのだ。なぜおふくろは一言言ってくれなかったのだ。金
を払っているのに、なぜ学校は一人足りないことに気づき、家に電話をしてくれなか
ったのだ。すでにみんなは目的地に着き観光を楽しんでいるだろう。自分のことなど
少しも気にかけていないだろう。悔んでも悔んでも悔みきれない。もうどうしようも
ないのだ。その時、コーヒーカップのカメが、薄笑いを浮かべたような気がした。も
うどうにもならない…。
 (4) と、いうところで…目が覚めた。左手は、目覚まし時計のベルのボタンの
上に載っていた。飛び起きて時計を見る。時刻は、午前7時11分。
クラゲ
 (1) 閻魔大王から許しが出て、正人は地上界に帰ることとなった。正人として
は、もう一度人として生まれたかったのだが、それは許されなかった。しかし、その
他の生き物ならなんでも願いをかなえてやると言われた。正人は、生まれ代わる生き
物として、クラゲを選んだ。クラゲを選んだことには大きな理由がある。正人の前世
は人間であり、1流会社の猛烈社員だった。休日出勤やサービス残業はもちろんのこ
と、接待や若手社員の教育など、寝る間も惜しみ、身を粉にして会社のために働いた
。そしてその無理がたたって、過労死により霊界に召されたのであった。生前の自分
は、ただしゃにむに働きさえすれば、幸せが転がってくると信じていた。だが、死ん
でしまった今人生を振り返ると、機械のごとく動いていただけで、自由も、安らぎも
、楽しみもなかった。つまらない人生であったと思える。それで、人間に生まれ代わ
ったら悠々自適に生きようと思っていた。でも、人間には生まれ代われない。そこで
、潮の流れに身を任せ悠々自適に生きるクラゲを選んだのであった。
 (2) クラゲになった正人は、しびれるような感動を味わっていた。海の上では
上司にも取引先にもグジャグジャ言われることもなく、潮の流れに身をまかせ心穏や
かに、悠々自適の生活ができる。四方を囲む青い海、時の経過とともに青、白、赤と
変化する空。そして銀色に輝く星空。その、はてしれぬ広大さは心に安らぎを与える
。これに比べれば、人間社会と、そこに所属していた自分はなんとちっぽけな存在か
。だが今この広大な世界をそのままに受け止めている自分は、なんと幸せだろう。正
人はクラゲに生まれ代わったことに満足感でいっぱいだった。
 (3) ところがその満足感も、時がたつにつれて薄れていった。クラゲになった
この身は、どこに行くのも波任せで、己の意志で動くことができない。これではまる
で、海に浮かぶゴミである。海も空もただだだっ広いだけで、その変化もワンパター
ン。いいかげんに飽き々してくる。こんな刺激のない生活なら人間のほうがまだまし
だ。正人はそう考えるようになった。
 (4) クラゲとしての一生を終え、正人はまた霊界に戻った。そして、またいく
らかの年月の後、閻魔大王から許しが出て、地上界に帰ることとなった。正人は、人
間として生まれ代わりたかったが、それは許されなかった。しかし、その他の生き物
ならなんでも願いをかなえてやると言われた。正人は生まれ代わる生き物として、働
きづめに働いても過労死する心配のない、アリに生まれ代わることにした。
                 集団感染
 (1) 昔は木製だった三途の川を渡る船も、今は合金製のモーターボート。人間
界を見るモニターまで備え付けられている。今、船に乗っている者たちはみな、集団
感染で命を落とした者であった。いわゆる、インフルエンザウイルスによる院内感染
というやつである。病気をなおすはずの病院で、病気となり、命を落とすとは。それ
に、この病院の対応と院長の態度はなんだ!一部四重を見渡せるモニターで、自分た
ちの死亡原因の一部四重を知った被害者たちは、大きな怒りと憎しみを覚えた。
 (2) 「閻魔大王様、お願いします」、「私からもお願いします。」嘆願してい
るのは、院内感染で死亡した者たちだった。彼らが願うのは、病原を持ったウイルス
に生まれ変わること。そして、いいかげんな対応と発現をした院長に復讐をすること
だった。気持ちはわからないでもない。あの院長はひどい人間で、一度バチを与えた
方がいいのではと仏様からも相談を受けたこともあった。だが、その院長だけに感染
する病原体なんてありえない。当然、他の、罪もない人間まで被害がおよんでしまう
。考えたあげく閻魔大王は、一つの妥協案を提示した。
 (3) 願い通り彼らは病原体として生まれ変わった。だがそれは、人間に感染す
るものではない。生まれ変わった姿は、コイに感染するコイヘルペスというウイルス
だった。そして、院長の家に侵入し、かわいがっている池のコイに感染した。池だけ
にコイに逃げ場はない。あっと言う間に集団感染したコイはみな死んでしまった。地
獄でのやりとりを知るよしもない院長だったが、これはもしやたたりではないかと青
ざめた。
 (4) その後院長は体調を崩し、やがて閻魔大王の所へ行くこととなった。ふと
見ると、地獄に、集団感染して命を落としたやつらがいた。私も多分地獄に行くのだ
ろう。と、なると、やつらにひどい目にあわされるのでは…と、また青ざめた。だが
閻魔大王はこう行った。「だいじょうぶだ、すでに彼らの憎しみというウイルスは、
浄化している」。
  地球の免疫抗体
 (1) 地球は、単に太陽の周りを回る、水の載った岩石の固まりではない。地球
は、それ自体、1コの生命体である。海と言う体液を持ち、マグマと言う、赤く熱い
血潮が流れ、台地と言う、生命活動を営む器官を供えた、一つの生命体なのである。
そして、太陽光線を食料とし、太陽の周りを泳いでいるのである。そして今、この生
命体は、重い病に苦しんでいる。その病名は、「ガン」。そして、そのガン細胞の名
将を、「人間」「と言う。
 (2) ガンと言う疾病は、そもそも、その生命体自身の細胞の一部が、突然変移
をおこし、無目的に増殖し、他の細胞を破壊して、ついには、その生命体自身の命を
も奪ってしまうと言う疾病である。そもそも、人間と言う地球の細胞は、地球に害を
与えるような細胞ではなかった。しかし、突然変移により、「開発」と言う毒素を持
ってからと言うもの、その性格は一変し、無目的に、その数を増やしていった。「人
間」と言うガン細胞が、無目的に増殖するにしたがい、小さな植物から森林、昆虫、
魚、貝、鳥、動物と言った、地球の他の細胞は、ドンドンと破壊され、その数は激減
し、あるいは、消滅していった。また、ガン細胞のだす毒素により、体液は汚染され
、器官は、その機能に異常をきたし始めた。
 (3) これにたいし地球は、天然痘ペスト菌結核菌、黄熱病ウイルスなど、
さまざまな「免疫抗体」を作りだし、ガン細胞の抑制を計った。しかし、このガン細
胞には、「医学」と言う、強力な耐性能力があった。そのため、一時的には、その数
を減らすものの、やがては、その抵抗力を増し、再び増殖していった。やがて、増殖
していった、このガン細胞は、地球の、ありとあらゆる場所に転移し、そこでまた増
殖し、他の細胞を破壊し、消滅させていった。そして地球はもう、手遅れの状態に近
付きつつあった。
 (4) だが、最近、地球は、とっておきの免疫抗体を作りだすのに成功した。そ
の抗体は、人間と言うガン細胞が、増殖活動を行う時に進入し、その能力を発揮する
。ガン細胞を殺すだけでなく、増殖活動の抑制も行うと言う、非常に高価的なもので
あった。その免疫抗体の名を、「エイズウイルス」という。
ーーー 四コマ物語 説明
四コマ物語とは
 (1) 四コマ物語とは、私、如月文実(きさらぎ ふみじつ)が新たに開発した
文学形態(?)です。
 (2) 四コマ物語は、起承転落の4小節からなる小説です。
 (3) 題材は、日常生活のできごと・道端で転がっているような話・スポ−ツ・
社会風刺・おとぎ話・パロディ−などさまざまです。
 (4) みなさんも挑戦してみませんか。そして、001、002と、ネットの中に四コ
マ物語ワールドを作ってみませんか。

 特徴、可能性
 (1) 文が短く、読みやすい・読むのにつらくない。
 (2) その中にもジャンルがいろいろある。
(3) ジャンルの中でもバカバカしいのからシビヤーなものまで、バライティー
にとむ。
 (4) ジャンルがいろいろあり、この先好きなものだけ拾い読みできる。
 (5) ジャンルがいろいろあり、老若男女はばひろく楽しめる。
 (6) 読者自信が自由に新たな四コマ物語のサイトを作ることも可能。
 (7) この形式に当てはめればだれでも簡単に小節が書ける。
 (8) この形式に当てはめて、既存の小説を四コマ物語にすることができる(要
約四コマ)。
 (9) これを元に短編、長編小説を書くことも可能。 
 (10) (4)[落]を組替えることにより小説を改造できる(陰、陽)。
 (11) 将来、俳句、和歌のように、「四コマ物語集」ができるかも?
 (12) 将来、四コマ物語の大きなネットができるかも?