如月 文実(きさらぎ ふみじつ)です。四コマ物語〜おとぎ話パロディーその1 4作品を投稿いたします。

 わが、四コマ物語ワールドにようこそ。作家としての人格、如月 文実(きさらぎ
 ふみじつ)です。
 今回は、四コマ物語の、おとぎ話の中の、パロディ4作品を投稿いたします。

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おとぎ話−パロディその1
如月文実
 あの、太宰 治大先生の作品に、「御伽草子」がございますが、この四コマ物語は
、よく知られているおとぎ話を、四コマ物語風にパロディ化した作品です。

カモノハシ
(1) 激しく降り続いた雨のため、大洪水が動物たちの住む草原を襲った。動物た
ちはいち早く逃げ出したので、けがをしたり命を落としたりするものはいなかった。
しかし流れ込んだ水のため草原は大きな池と化した。やがて雨はやみ水もひいたが、
草原には洪水が運んできた泥や石や木切れなどが散乱し、見るも無残な姿となってい
た。このままでは生活ができない。草原の実力者である哺乳類の王、ライオンと、爬
虫類・両棲類の長老の亀は協議を重ねた。その結果、哺乳類と、爬虫類・両棲類が、
一日交代で草原を掃除することになった。そして草原のすべての動物にそれを知らせ
た。
(2) しかし、この知らせを聞いて、頭を悩ませている動物がいた。それは、カモ
ノハシであった。カモノハシは、卵を産み子供を母乳で育てるという不思議な動物で
ある。卵を産むという点からは爬虫類だ。しかし、子供を母乳で育てるという点から
は哺乳類だ。いったい自分はどちらに所属すればいいのだろうか? ここでどちらに
も所属しないと言えば、掃除をさぼることができる。しかしそんなことをすれば、あ
のコウモリのごとく、仕事が完了した後に双方で開かれる打上げパーティーからボイ
コットされてしまう。かといって、どちらにも所属すると言えば、休みなく働くこと
となり過労死だ。とにかくたった一匹で悩んでいても仕方がないので、カモノハシは
双方の責任者に相談をすることにした。
(3) ところが、これが大きな誤りであった。まず哺乳類の責任者であるライオン
に相談したところ、ライオンは一匹でも協力者が欲しいあまり、「たとえ卵を産んだ
としても、母乳で子供を育てる以上きみは哺乳類だ」とカモノハシを誘う。これに対
し、爬虫類・両棲類の責任者であるゾウ亀に相談したところ、ゾウ亀は一匹でも協力
者が欲しいあまり、「たとえ母乳で子供を育てるとしても、卵を産む以上きみは爬虫
類だ」とカモノハシを誘う。カモノハシの悩みはさらに大きく膨らんでしまった。
(4) やはり、他人いや他獣に結論を頼っていてはだめだと気づいたカモノハシ。
ここは、二日働き二日休む方式を取ることを自分自身で決定し、双方の責任者にそれ
を伝え了解を取り付けた。

 * カモノハシは、実際には、哺乳類に属します。


かぐや姫の裏話
(1) 日本がやっと平安時代を迎えたころ、月では月人により高度な文明が栄えて
いた。現代の地球のごとく科学技術がすでに発達しており、自動車や飛行機はもとよ
り、月と地球を往来する宇宙船までもが開発されていた。都市には高層ビルが立ちな
らび、各家庭には、あふれんばかりの電化製品があった。そして、いくつもの原子力
発電所が都市と家庭に莫大なエネルギーを供給していた。政治は王政だったが、自由
と平和が満ちあふれていた。
(2) だがそんな月世界に戦争が勃発した。次期王のイスをめぐり、権力闘争がお
こったのだ。軍事協定により原子爆弾の使用と原子力発電所への攻撃は一切禁止とな
っていたので、月世界を滅亡させるには至らない戦争ではあった。しかしハイテク兵
器が乱れ飛び、都市は破壊の一途をたどった。時の王は生まれたばかりの孫娘の身を
案じ、戦争が終わるまで一時地球へ避難させることを決意した。王の命を受けた乳母
はさっそく地球へ向かい、日本国内のある竹林に到着した。ちょうどその時、竹を取
りにきた年取った地球人がこちらにやってくるのが見えた。ここで乳母は一計を案じ
た。姫君を竹の中に忍ばせてこの竹取り人に見つけさせ、地球人として育てさせるこ
とにしたのだ。月からの追っ手の目を欺くためである。竹取人は、竹の中から見つけ
た女の子を神様からの授かり者と信じ、かぐや姫と名づけた。月の乳母は、姫の養育
費として、竹取人が竹を取りにくるたびに竹の中に地球のお金を忍ばせておいた。そ
して、小型の昆虫ロボットを姫の部屋までリモートコントロールで送り、ロボットに
内蔵された通信システムを通じて月の姫君としての教育を行った。特に、月人である
以上、絶対に地球人とは結婚しないよう肝に銘じさせた。
(3) 姫君が地球人の年齢で15歳になるころ、月での戦争が終わった。そして十五
夜の夜に、姫君に月へ帰国してもらうことが決まり、乳母はそれを昆虫ロボットを通
じて姫君に伝えた。かぐや姫から十五夜の夜に月から迎えがくることを知らされた地
球人たちは、そうはさせじとかぐや姫のいる御殿に兵を集結させ、月からの使者を迎
え打つことになった。だが、当時の月人と地球人との科学技術の差は歴然としていた
。まず月人は照明弾を使い、地球人の目を封じ、次に地球人が死なない程度の電流を
流して感電させ、その動きをも封じてしまった。そしてそのすきに姫君を宇宙船に乗
せ、月へと連れ帰ったのである。
(4) その後、地球でかぐや姫と名づけられた姫君は王位に着いたのだが、月世界
は、これでめでたしめでたしというわけにいかなかった。反対勢力の残党が協定違反
をして原子力発電所を爆破したため、月は核爆発の炎に包まれたのである。水も、空
気も、月人も、文明も、すべてが月から消滅した。そして月は現在のような姿となっ
た。原子力発電所のあった場所には大きなクレーターが残された。


雪女の裏話
(1) この日、ヒマラヤは猛吹雪に見舞われた。吹雪の原因は他でもない、雪女と
雪男の夫婦ゲンカであった。雪男が暴れるたびに山に雪崩がおき、雪女が金切り声を
あげるたびに風は荒れ狂った。そして夫婦ゲンカがエスカレートするごとに、吹雪も
エスカレートした。双方意地の張り合いで結局ケンカの決着はつかず、とうとう雪女
は子供の雪ん子を残してヒマラヤを出て、実家の日本の雪山に帰ってしまった。
(2) 雪女が実家である日本の山小屋で一人閉じこもっていると、ある日、雪山で
遭難した親子が入ってきた。親は別れた雪男とそっくりな憎たらしい顔をしていたが
、息子は好みのタイプであった。父親の顔を見て別れた夫のことを思い出した雪女は
、腹が立った。そこで雪女は、腹いせに父親を凍死させてしまった。だが息子は好み
のタイプだったので、生かしておいた。そして自分の消息を雪男に悟らせないため、
自分に会ったことをもし誰かに話したりすると殺してしまうと息子を脅迫し、誰にも
言わないことを約束させた。
(3) それから数日後、雪女は人間の姿にその身を変え山の麓に降りた。そして助
けてやった男の家に行き、女房にしてくれと頼んだ。雪山で何もしないで一人閉じこ
もっているのが退屈で寂しかったからだ。もし男にすでに女房がいたら凍死させてや
ろうと思っていたが、幸か不幸か男は一人暮らしで、雪女の思惑通りことは運んだ。
(4) それから数年後、雪女の前にひょっこり前の夫の雪男が娘の雪ん子を連れて
現れた。雪男はこれまでのことを手をついて謝り、雪ん子のためにもよりを戻してく
れと頼んだ。必死に頼みこむ雪男の姿を見て、雪女も自分の身勝手を反省し、よりを
戻すことにした。そして人間の男との関係を清算すべく一計を案じた。男には自分に
会ったことを言えば殺す、と脅迫してあった。それを逆手に取り、巧みな誘導尋問で
男に自分に会ったことをしゃべらさせ、今度は「殺されたくなければ私と別れろ」と
脅した。そして雪女は、雪男と雪ん子とともにさっさとヒマラヤに帰った。


天の三女
(1) 何百年かぶりに、月に住むかぐや姫が、天の川に住む織姫のところに遊びに
きた。ちょうどその時、あの『天の羽衣』に登場した天女が天の川に泳ぎに来ていた
ので、彼女を誘って三人でパーティーを開いた。  
(2) 彼女たちは、地球人の言葉で言えばエイリアンなので、年をとらない。今も
、お伽噺に出てきた当時の美しさを保っている。織姫が織った、牛の絵の入ったテー
ブルクロスの上に、天女が生けた松が飾られる。この松は地球から持ち帰って増やし
たものである。隕石で作られたグラスの中には、彗星の氷のかけらが入っている。そ
の中にかぐや姫が持ってきた不老長寿の酒が注がれる。乾杯の後、昔話に花を咲かせ
た。かぐや姫は、地球で言い寄る男どもをバッタバッタと退けた、もてる女を強調し
た。織姫は、一年に一回、しかも地球に雨が降るとその年は会えなくなってしまう恋
人をひたすら思い続ける、一途な女を強調した。天女は、地球に海水浴に行った時に
、悪い男にだまされ子供まで生まされた、悲劇の女を強調した。
(3) 織姫が、地球に行ってみたいと言い出した。織姫は地球を眺めたことはあっ
たが、実際に地球に行ったことはなかった。かぐや姫も天女も、久しぶりに地球によ
ってみたいと思い、三人の意見は一致した。最近かぐや姫の国で開発された飛行船は
かぐや姫を迎えにきたころとは、比べものにならないほどの速さで飛ぶ。三人を乗
せた飛行船は地球へ向かう。
(4) しかし、久しぶりに訪問した地球の姿はひどかった。空気は汚れ、町はアス
ファルトとコンクリートでメッキされた状態だった。昔の風情などみじんも残ってい
ない。三人はがっかりしたが、その日はたまたま季節外れの七夕祭りをやっている地
域があったので、それに参加することにした。織姫は地球を案内してくれた二人に感
謝して、短冊に願いを書くことを勧めた。願いごとを書いた短冊を笹につるすと、願
いごとがかなう。目の前に当の本人がいるのだから、間違いはない。二人は短冊に同
じ願いを書いた。それは次のとおりである。
 「これからも、ドラマチックな恋ができますように」。

ーーー 四コマ物語 説明

四コマ物語とは
 (1) 四コマ物語とは、私、如月文実(きさらぎ ふみじつ)が新たに開発した
文学形態(?)です。
 (2) 四コマ物語は、起承転落の4小節からなる小説です。
 (3) 題材は、日常生活のできごと・道端で転がっているような話・スポ−ツ・
社会風刺・おとぎ話・パロディ−などさまざまです。
 (4) みなさんも挑戦してみませんか。そして、001、002と、ネットの中に四コ
マ物語ワールドを作ってみませんか。

 特徴、可能性
 (1) 文が短く、読みやすい・読むのにつらくない。
 (2) その中にもジャンルがいろいろある。
(3) ジャンルの中でもバカバカしいのからシビヤーなものまで、バライティー
にとむ。
 (4) ジャンルがいろいろあり、この先好きなものだけ拾い読みできる。
 (5) ジャンルがいろいろあり、老若男女はばひろく楽しめる。
 (6) 読者自信が自由に新たな四コマ物語のサイトを作ることも可能。
 (7) この形式に当てはめればだれでも簡単に小節が書ける。
 (8) この形式に当てはめて、既存の小説を四コマ物語にすることができる(要
約四コマ)。
 (9) これを元に短編、長編小説を書くことも可能。 
 (10) (4)[落]を組替えることにより小説を改造できる(陰、陽)。
 (11) 将来、俳句、和歌のように、「四コマ物語集」ができるかも?
 (12) 将来、四コマ物語の大きなネットができるかも?