如月 文実(きさらぎ ふみじつ)です。SF四コマその1 4作品を投稿いたします。

 わが、四コマ物語ワールドにようこそ。作家としての人格、如月 文実(きさらぎ
 ふみじつ)です。
 今回の四コマ物語は、以下の4作品です。

SF4コマ
如月文実
 多くの作家がすなる、SF小説というものを、四コマ物語にて、してみんとてする
なり。

生まれ代わり
 (1) 私の寿命は尽きた。魂はあの世とやらに召された。だがそれからまもなく
、私の魂は再びこの世へ戻された。私は生まれ代わったのである。しかし、人間とし
て生まれ代わったわけではない。私の来世の姿は、オオシオカラトンボであった。私
は、トンボに生まれ代わったのである。季節はもちろん夏。そして今いる場所は島根
県の母の実家の向かいにある田んぼで、しかも、その風景は生前私が小学校に入った
ばかりのころ、母に連れられて行った時のそれとまったく同じであった。どうやら私
は、過去にタイムスリップして生まれ代わったらしい。
 (2) かわりはてた今の自分の姿に途方にくれ、田んぼの畦に立っている竹棒の
上でぼんやり空を眺めていると、1匹のカが私の目に映った。その途端トンボとして
の本能が目覚め、私の体を支配した。そして、私の意志に反し、トンボの本能は、カ
に襲いかかることを命じた。意志とは無関係に私の体はカを捕らえる。するとカは、
か細い声で「助けてくれ」と叫んだ。その声にどこか聞き覚えがある。そう、その声
は小学1年生の時に私がよくいじめられた餓鬼大将の大内であった。彼はカに生まれ
代わっていた。あのころ、確かに私は、いつか仕返ししてやろうと思った。しかし、
今ではそれもよい思い出だ。彼は執拗に助けを乞う。私の意志は彼を助けてやろうと
、6本の足を開こうとするのだが、本能はそれを許さなかった。本能から私の体が解
放されたのは、彼を食べ終えてからであった。
 (3) あれから何匹のカを食べただろうか。生前の仕返しをいくつしたのだろう
か。あとどれくらい仕返しをするのだろうか。そう思い悩んで竹棒の上にぼんやりし
ていると、向こうから子供の声が聞こえる。その姿が目に映った時、言いしれぬ恐怖
が私の全身を駈けめぐった。その子供は生前の小学生時代の私であった。手には虫取
り網を持ち、肩からは虫かごを下げている。私はこのころよくトンボを取りに行った
。生前の私は、間違いなく今の私を取りに来たのだ。私は、私目がけて虫取り網を振
りまわす。逃げながら、私は私に対し私であることを必死に説明する。しかし今、ト
ンボである私の声が人間である私に分かるはずはない。ついに私は私に捕らえられた
。そして虫かごに入れられ、母の実家で昆虫採集用の注射器で毒を入れられる。「や
めろ! 私は私だ!」と私は叫ぶ。しかし最後まで私の声は私に届かなかった。過去
は変えられない。生前人間だった私がそうしたように、私はトンボである私を殺した

 (4) 私の寿命は尽きた。そして魂はあの世とやらに召された。だがそれからま
もなく、私の魂はみたびこの世へ戻された。私はまた生まれ代わった。しかし人間と
して生まれ代わったわけではない。私の来世の姿は…。

遺伝子WAR
 (1) 東海博士は、遺伝子研究の第1人者であった。彼の研究によりその役割が
明らかになった遺伝子は、数多い。そして今、博士は人間のあるひとつの遺伝子につ
いて研究している。その遺伝子は、過去に多くの研究者が、その役割の解明を試みた
が、いまだ解明されていない遺伝子であった。
  (2) 東海博士は、これを解明するため、新たな実験方法をとった。それは、
この遺伝子を実験用のマウスに組み入れ、その生体的変化を観察しようというもので
あった。博士はまず、手始めに、遺伝子を組み入れた20匹のマウスを、10匹ずつ、2
つのオリに入れ実験した。だが何の変化もなかった。そこで東海博士はサンプルを増
やすため、マウスを2倍に増やし、また実験した。しかし変化はなかった。博士はさ
らにマウスを増やした。そうしていくうちにマウスはねずみ算式に増していき、広か
った博士の研究室は、マウスで足の踏み場もないほどになった。オリに入ったマウス
もいつのまにか増え、身動きがとりにくくなっていた。
 (3) そしてマウスがある一定の数に達した時、ついに異変が起こった。マウス
が、いらいらした態度を取り始めたかと思うと、エサを満足に与えているはずのマウ
スたちが、共喰いをし始めたのである。いやそれは共喰いではない。ただ単に殺しあ
いをしているのだ。東海博士は、あまりのすさまじさに呆然とそれを眺めるしかなか
った。そして殺しあいは、マウスがある一定の数まで減少した時に終わった。
 (4) 「なぜ、こんなことが起こったのだろう」。東海博士にはまったく見当が
つかなかった。だが、あることに気づいた時にその謎が解けた。ワニは、数が多くな
りすぎた時、共喰いをしてその数を調整するという。人間においては人口密度の大き
い都会ほど殺人が多い。人間には天敵がいない。そのため増え過ぎた人口を減らすに
は、これを人間が行わなければならない。その一番原始的な方法が人が人を殺すこと
である。東海博士は今、人間が戦争を起こす意味が初めて分かった気がした。博士は
、この遺伝子をWARと名づけた。

宇宙の小魚
 (1) ここは、地球が所属する銀河とは違う別の銀河系。ここに地球の探査宇宙
船、ベアーボディー号がいた。ベアーボディー号は、その名のとおり熊の身のように
黒くて巨大で頑丈な宇宙船だった。性能も、その時代の地球の科学技術の粋を結集し
た、最高の探査船であった。ベアーボディー号の任務は、あらかじめ計画された惑星
の生物探査であり、遠方からでも生物がいるかどうか判断できる高性能センサーを備
えていた。そして、ベアーボディー号が4番目の惑星に向かう途中で事件が起こった

 (2) 3番目の惑星探査を無事終えて、ベアーボディー号は4番目の惑星に向か
っていた。その時、後方から巨大なものが近づいてくるのをレーダーがキャッチした
。乗組員は隕石だと思った。ところが、その巨大な物体には生物反応がある。驚いて
その映像をスクリーンに写すと、何とそれは巨大なヒトデであった。宇宙ヒトデであ
る。それは確かに生きて動いている。これは地球の常識では考えられない。コンピュ
ーターによると、宇宙ヒトデの全長は約50キロメートル。ベアーボディー号の約100
倍の大きさである。宇宙ヒトデは横に回転しながらゆっくりベアーボディー号に近づ
いてくる。どうやらこちらをエサと間違えているらしい。とにかく捕まっては大変で
ある。ベアーボディー号は全速力で逃げ出す。それに気づいた宇宙ヒトデは、今度は
縦に回転しスピードを上げて追ってくる。ベアーボディー号の最高速度は光速とほぼ
同じ。だが宇宙ヒトデも回転するごとにどんどんスピードを増す。なにしろ宇宙ヒト
デは1回転するごとに100キロ進む。それが1秒間に、何百回、何千回、何万回と、
その回転速度を上げるのだからたまらない。宇宙ヒトデはみるみるうちに追いついて
きた。ここでワープを使えばなんとか逃げ出せるのだが、周囲には隕石が多く、使い
たくとも使えない。
 (3) ベアーボディー号万事窮す…と思われたその瞬間、地球の常識では考えら
れない出来事がまた起こった。ちょうど、近くの、探査する予定の4つめの惑星から
、巨大な紐のようなものが何十本も伸びてきた。惑星だと思っていたその巨大な物体
は、惑星ではなく、それ自体1個の生命体であった。宇宙いそぎんちゃくである。宇
宙いそぎんちゃくから伸びた触手は、宇宙ヒトデをとらえる。しかしベアーボディー
号をとらえようとはしない。地球の海に、いそぎんちゃくと共生する小魚がいる。小
魚は、敵に襲われそうになった時はいそぎんちゃくの触手の間に入り自分を守る。い
そぎんちゃくは、小魚を追って来た敵を触手でとらえエサにする。こんな関係がある
。どうやら宇宙いそぎんちゃくは、ベアーボディー号をその小魚と同列に考えたらし
い。とにかくベアーボディー号は、これをチャンスに触手の間をかいくぐり、危機を
逃れた。
 (4) この出来事は地球の常識では考えられないことだった。しかし、宇宙全体
をひとつの海と仮定すれば何となく理解できる。宇宙には、地球の常識では考えられ
ない出来事がある。広い宇宙においては、人間は小魚に寄生する虫にすぎない。

自然のバランス
 (1) 地球は、海の中に生命体を初めて生みだした。それは小さな植物プランク
トンであった。天敵のいない植物プランクトンはしだいに数を増し、いろいろな種類
に分化した。やがて海は植物プランクトンの天下となった。「これではバランスが、
あまりによくない」。そう考えた地球は、動物プランクトンという天敵を生みだし、
その数を調節した。やがて動物プランクトンは爆発的に増え、植物プランクトンの中
には、絶滅する種類さえ出てきた。そこで地球は動物プランクトンを食べるという、
動物プランクトンを天敵として生みだし、その数を調節した。やがてその動物プラン
クトンも数が増えた。地球は、海草・貝・軟体動物・魚類など次々と天敵となる生物
を生みだして、自然のバランスを保とうとした。
 (2) やがて地球は、陸の上にも生命体を初めて生みだした。最初は小さな植物
であった。天敵のいない植物は、しだいに数を増し、いろいろな種類に分化した。や
がて陸地は植物の天下となり、これまで大気の主成分であった二酸化炭素を酸素に変
え、地球全体の環境を変えていった。「これではバランスが、あまりによくない」。
そう考えた地球は、昆虫という天敵を生みだしその数を調節した。やがて昆虫は爆発
的に増え、植物の中には絶滅する種類さえ出てきた。そこで地球は昆虫を食べる昆虫
という天敵を生みだし、その数を調節した。やがてその昆虫も数が増えた。こうして
地球は、両棲類・爬虫類など次々と天敵となる生物を生みだして、自然のバランスを
保とうとした。
 (3) やがて地球は2本足で歩く巨大な体を持った爬虫類である恐竜の天下とな
った。恐竜はこれまで地球が生みだしてきた生物の最高傑作であり、すべての生物の
天敵となりえた。もはや地球は恐竜の天敵を生みだすことができなかった。そのため
、多くの動植物が絶滅した。「このままでは、他の地球上の生物がすべて絶滅してし
まう」。そんな危機を感じた地球は、やむなく恐竜を絶滅させることにより自然のバ
ランスを保とうとした。そのため、地震津波、噴火で環境を急激に変化させたり、
隕石を呼びよせたりいろいろなことをした。それからまた、自然のバランスを保つた
め、新たに鳥類・哺乳類などを生みだした。
 (4) 今、地球は2本足で歩く巨大な頭を持った哺乳類である人間の天下となっ
ている。人間はこれまで地球が生みだしてきた生物の最高傑作であり、すべての生物
の天敵となりえた。もはや地球は人間の天敵を生みだすことができなかった。そのた
め多くの動植物が絶滅していった。「このままでは、他の地球上の生物がすべて絶滅
してしまう」。そんな危機を感じている地球は、自然のバランスを保つ次の方法を考
えている。

ーーー 四コマ物語 説明

四コマ物語とは
 (1) 四コマ物語とは、私、如月文実(きさらぎ ふみじつ)が新たに開発した
文学形態(?)です。
 (2) 四コマ物語は、起承転落の4小節からなる小説です。
 (3) 題材は、日常生活のできごと・道端で転がっているような話・スポ−ツ・
社会風刺・おとぎ話・パロディ−などさまざまです。
 (4) みなさんも挑戦してみませんか。そして、001、002と、ネットの中に四コ
マ物語ワールドを作ってみませんか。

 特徴、可能性
 (1) 文が短く、読みやすい・読むのにつらくない。
 (2) その中にもジャンルがいろいろある。
(3) ジャンルの中でもバカバカしいのからシビヤーなものまで、バライティー
にとむ。
 (4) ジャンルがいろいろあり、この先好きなものだけ拾い読みできる。
 (5) ジャンルがいろいろあり、老若男女はばひろく楽しめる。
 (6) 読者自信が自由に新たな四コマ物語のサイトを作ることも可能。
 (7) この形式に当てはめればだれでも簡単に小節が書ける。
 (8) この形式に当てはめて、既存の小説を四コマ物語にすることができる(要
約四コマ)。
 (9) これを元に短編、長編小説を書くことも可能。 
 (10) (4)[落]を組替えることにより小説を改造できる(陰、陽)。
 (11) 将来、俳句、和歌のように、「四コマ物語集」ができるかも?
 (12) 将来、四コマ物語の大きなネットができるかも?