如月 文実(きさらぎ ふみじつ)です。スポーツ四コマ〜プロ野球はサイコその1 4作品を投稿いたします。

 わが、四コマ物語ワールドにようこそ。作家としての人格、如月 文実(きさらぎ
 ふみじつ)です。
 今回の四コマ物語は、以下の4作品です。

スポーツ4コマ〜プロ野球はサイコ
如月文実
 この四コマ物語は、各種スポーツで、ないそでありそな、ありそでないそなことを
、四コマ物語風に表現した作品です。
 そして、今回は、そのプロ野球編です。
 ただし、実際のプロ野球チームとは関係はありません。

反射行動
 (1) 1塁ランナーは、さりげないふりをしてしきりにピッチャーの様子をうか
がっている。得点は、現在自チームが2点リードしており、ノーアウトでランナーは
自分だけ。バッターのカウントも、スチールをかけるには絶好の状況にある。現在盗
塁王争いは、自分を含め3人がトップで並んでいる。それだけに、ここで一つ盗塁を
決め、ライバルに一つでも差をつけておきたい。今、マウンドにいるピッチャーには
、続けて3度は牽制球を投げないという癖があった。ランナーはそれをすでに見抜い
ていた。そして先ほど2度目の牽制球が投げられた。「次が勝負だ」。ランナーは、
腹をくくった。ピッチャーがセットポジションに入り静止した状態となる。肩がピク
リと動いた。それを条件にランナーは、反射的に2塁へ猛然に突っ走った。
 (2) ピッチャーには、投球動作に入ると同時に、ランナーが走るのが見えた。
そして、「しめた」と思った。実は、盗塁を警戒して、キャッチャーからウエストの
サインが出ていたのだ。このピッチャーは最近よくスチールを許しており、それだけ
に、ランナーがまんまとワナにはまったことが痛快であった。そして、アウトを確信
していた。モーションは、もちろんクイック。どちらが条件でどちらが反射か、ピッ
チャーの投球動作とキャッチャーの捕球体勢への動作が並行して行われる。ピッチャ
ーの手からボールが離れた。ボールは一直線にキャッチャーのミットに。ボールがミ
ットに吸い込まれる。これでピッチャーは役目を果たした。
 (3) キャッチャーミットにボールが入った。それを条件に、キャッチャーは反
射的に2塁への投球体勢に入る。と同時に、頭の方はボールを投げて殺せるか殺せな
いかを判断する。「微妙なタイミングだ。どちらになるか分からない」。こんな条件
の時は、身体は、2塁へ投げるという反射運動をすることになっている。ショートは
まだベースカバーに入っていないが、一番取りやすく、しかも一番タッチしやすい所
へボールを投げる。ボールは一直線にその点に向かう。ショートも、その点へ向け走
る。そして一瞬早く到着したショートがボールをグラブに収める。これでキャッチャ
ーは役目を果たした。
 (4) グラブにボールが入った。それを条件に、ショートは反射的にランナーの
タッチにかかる。ランナーは猛然と滑り込む。ランナータッチとベースタッチがほと
んど同時に行われる、クロスプレー。一瞬両者の動きが止まる。これでショートは役
目を果たした。後は塁審がジャッジをくだし、10秒間にも満たないドラマが完結する
。アウトか、セーフか…。それは、読者のみなさんで自由に考えてください。

ランニングホームラン
 (1) カキーン!ボールがバットの芯でとらえられた瞬間、快音が響きわたる。
その音がさめやまぬうちに、ボールはバットから離れ、ライト方向へ飛んで行く。「
手応えはあった」。振りきったバットを放り投げ、バッターは1塁へ突っ走る。途中
で、ボールが1塁手の頭上を抜けていくのが見えた。打球の角度は低いのでホームラ
ンにはならない。飛んだコースと外野手との位置から見て、ヒットは確実。「やった
、ついにやった」。ここ3試合ヒットがなく、もし今日もノーヒットなら明日のスタ
メン落ちは確実。結婚したばかりのカアちゃんにも顔向けできない。そんな危機感が
あっただけに、喜びもひとしおである。と同時に、「明日もスタメンだ」という安堵
感も生まれた。1塁ベースを目前にした所で、ボールが地に落ちるのが見えた。1塁
ベースまであと3歩、2歩、1歩、左足でベースを踏み、シングルヒット成立。
 (2) ベースを踏んだ左足を軸に身体を2塁に向け、そのまま突っ走る。先ほど
見たボールと外野手との位置関係から、すでにバッターランナーはツーベースヒット
は確実と判断していた。久しぶりのヒットがツーベースということで、気分も爽快で
ある。それに今日、ツーベースを打つと、スポンサーから商品として、ビール1ダー
スがもらえる。夫婦、仲良く晩酌する姿が、彼の頭をかすめる。ベースを目前にした
所でも、ベースカバーの選手はまだ突っ立ったままである。2塁ベースまであと3歩
、2歩、1歩、左足で2塁ベースを踏み、ツーベースヒット成立。そのまま体を3塁
に向け、2塁ベースから2、3歩出た所で少し走るスピードを落とし、ライトのほう
をチラッと横目で見る。野手はクッションボールを誤っている。これなら3塁まで行
ける。そう判断したランナーは、再び猛スピードで3塁へ突っ走る。スリーベース
ットなら賞金がつく。それに追加点のチャンスも広がる。ツーベースヒットを確定し
心に余裕ができたのか、もう、新妻は彼の頭の中に浮かんでこなかった。3塁ベース
を目前とした所で、3塁手が捕球体勢に入った。「大丈夫、滑ればセーフになる」。
そう直感したランナーは、スライディングの体勢に入る。と同時に3塁手の顔がビク
ッと上を向いた。次の瞬間、彼の身体が宙へ飛ぶ。次の瞬間、ボールが3塁手の頭上
で曲線を描きファールゾーンへ。「悪送球だ」と気がついた時、ランナーの手はすで
に3塁ベースについていた。スリーベースヒット成立。
 (3) ランナーは、サッと立ち上がり、ボールの行方を目で追う。フェンスから
跳ね返ったボールは、ファールゾーンを転々ところがる。それをバックアップの選手
が追い掛けている。それを見たランナーは、すぐさまホームベースへ突進していった
。夢のランニングホームランに、一か八か賭けてみたくなったのである。彼の頭の中
には、もはやランニングホームランという文字しかなかった。この言葉だけで彼の体
は動いていたのである。しかし、そうは問屋が降ろさないと、ホーム寸前でキャッチ
ャーが待ち構えている。そして、3塁手の時よりも早く捕球体勢に入る。ボールがミ
ットに入った。アウトになってたまるかと、ランナーは回り込んでヘッドスライディ
ングを試みる。そうはさせるかと、キャッチャーはミットで叩き伏せにかかる。ラン
ナーはホームベースに手を伸ばす。キャッチャーのミットはランナーの背中へ。ホー
ムベースまであと5ミリメートルという所で、キャッチャーミットが彼のユニフォー
ムに触れるのを感じた。その瞬間から手がベースに触れるまでの間、頭の中が真っ白
になる。二人の動きが止まった。その瞬間からアンパイヤが判定を下すまでの間、彼
はしまったという気持ちに捕らわれる。3塁で止まっておけばよかったという後悔、
監督の怒る顔、自分の名のない明日の電光掲示板、カアちゃんの悲しむ顔などが、い
なずまのように突き抜けていった。その一瞬の間、彼は地獄を見た。
 (4) ところが、アンパイヤは、大声でセーフのコール。「何っ、セーフ!」。
ランナーはアンパイヤの手を見る。横に大きく広がっている。間違いない、セーフだ
。なるほど、当事者にははっきりとアウトだと判定できることだが、はた目にはどち
らともとれるクロスプレー。アンパイヤは、セーフを選んだのだ。キャッチャーは猛
烈に抗議しているが、1度下された判定はくつがえらない。アマチュアスポーツの世
界なら、ここで正直にアピールするところだが、ここはプロの世界。自分に都合のよ
い判定をみずからくつがえすのは、プロにとって、バカのつく正直者のすること。地
獄から一気に天国へと舞い上がった男は、何くわぬ顔でベンチに帰りみんなから祝福
を受けた。ダイヤモンドを1周するには1分とかからない。だがその間にも、さまざ
まなドラマがある。

   (* この場合、記録上ではスリーベースヒットとワンエラーとなります。

 サインの交換
 (1) 試合は九回のウラに入り、得点は十対一。この回を抑えれば試合は終る。
勝負はもう決まったも同然で、お客さんの興味はもう他に移っている。それは、エー
スピッチャーの東豪と、四番バッターの豪田の一騎打ちだった。二人は宿命のライバ
ルであり、プライベイトでは大の仲良しである。そして、豪田選手がバッターボック
スに入るやいなや、球場は大喚声に包まれる。なんと、豪打選手は、片手でバットの
先を、高だかとバックスクリーンの方向へ向けたのだ。これは勿論、予告ホームラン
のサインである。そしてまた、静まろうとしていた球場が再び大喚声に包まれる。な
んと今度は、東豪選手が、豪田選手に向け、3本の指を突き出したのであった。これ
は勿論、予告三振のサインである。このサイン交換が、これから始まる一騎打ちをさ
らに盛り上げた。
 (2) ピッチャー、ふりかぶって第1球。渾身の力を込めて投げた豪速球がうな
りをあげて飛ぶ。バッターもまた、渾身の力を込め、豪快なスイング。空振り!続い
て第2級。豪速球はバットを霞めバックネットへ。第3球は、痛烈なヒット性のファ
ール。ヒッチャーが投げるのは、ストレートのみ。バッターは、小細工せず、豪快な
スイングのみ。正に男と男の勝負だ。
 (3) そして第4球。バットの芯で球を捕らえた!球はバックスクリーンに向け
一直線!しかし、あわやホームランと思われた打球は途中で失速し、スタンドの2・
3メートル手前でグラブに収まった。予告はどちらもはずれた。しかし、お客さんた
ちは、純粋な大勝負に大満足して球場を後にした。
 (4) そして試合終了後、二人はいざか屋にいた。合田選手のおごりである。実
は二人は以前から次のような交換をしていた。
 [1] 予告どおりになったら、勝負に負けた方が勝った方に、レストランで飯を
おごる。
 [2] 予告どおりにならなかったら、勝負に負けた方が勝った方に、いざか屋で
飯をおごる。

 予告ホームラン?
 (1) 9回の浦ツーアウト。得点は2対0。後1人で勝利を手にすることができ
る。しかし、類はすべてランナーで埋り、一発長打がでればサヨナラとなる。幸い次
のバッターは、ミートはうまいが長打はない。しかし、その後に控えるバッターは要
注意だ。バッテリーは、なんとかこのバッターで終らせようと細心の注意を払う。
 (2) バッターが、バッターボックスに入る。次の瞬間、休場がドッと涌く。バ
ッターボックスに入るやいなや、バッターは、そのバットを、高々と、バックスクリ
ーンの方向へ向けたのだ。予告ホームランだ。しかも、ここで打てば、逆転満塁サヨ
ナラホームラン。球場内はこのバッターのとった演出に大きくどよめいた。 
 (3) この強烈な演出に動揺したピッチャーは、ストライクが入らない。ノース
リーとしたところで、観客から「てめー、ホームランを打たれるのが怖いから逃げて
るのか!」とやじが飛ぶ。たまらずキャッチャーがマウンドにかけよる。内野手も集
まり、ピッチャーを激励する。「あのバッターは短距離ヒッターだ。おまえの剛速球
なら、ぜったいにホームランは打てない。空振りするか平凡な外野フライになるのが
おちだ。おもいきって投げろ。」みんなに励まされ、ピッチャーは自信を取り戻した

 (4) ピッチャーは、渾身の力を込め、剛速球を投げる。バッターは、ホームラ
ンを狙い、渾身の力でバットを振る…と思いきや、コンパクトなバッティングで、ボ
ールをミート。絶妙なバットコントロールでみごとなセンター前ヒット。観客はみな
、ホームランの打ちそんじだと思った。しかし、選手たちはだまされたと思った。あ
れは明らかに、ホームランをねらったバッティングではなく、ヒットをねらったセン
ター返しのバッティングだ。怒り浸透したため、この後相手チームの選手たちは連携
プレーを乱し、そのまま逆転サヨナラを許してしまった。この日のヒーローインタビ
ューは勿論予告ホームランをした選手。「あれは、予告ホームランだったんですか」
と言うインタービュワーの質問に選手はこう答えた。「いえ、あれは予告センター前
ヒットです」。

ーーー 四コマ物語 説明

四コマ物語とは
 (1) 四コマ物語とは、私、如月文実(きさらぎ ふみじつ)が新たに開発した
文学形態(?)です。
 (2) 四コマ物語は、起承転落の4小節からなる小説です。
 (3) 題材は、日常生活のできごと・道端で転がっているような話・スポ−ツ・
社会風刺・おとぎ話・パロディ−などさまざまです。
 (4) みなさんも挑戦してみませんか。そして、001、002と、ネットの中に四コ
マ物語ワールドを作ってみませんか。

 特徴、可能性
 (1) 文が短く、読みやすい・読むのにつらくない。
 (2) その中にもジャンルがいろいろある。
(3) ジャンルの中でもバカバカしいのからシビヤーなものまで、バライティー
にとむ。
 (4) ジャンルがいろいろあり、この先好きなものだけ拾い読みできる。
 (5) ジャンルがいろいろあり、老若男女はばひろく楽しめる。
 (6) 読者自信が自由に新たな四コマ物語のサイトを作ることも可能。
 (7) この形式に当てはめればだれでも簡単に小節が書ける。
 (8) この形式に当てはめて、既存の小説を四コマ物語にすることができる(要
約四コマ)。
 (9) これを元に短編、長編小説を書くことも可能。 
 (10) (4)[落]を組替えることにより小説を改造できる(陰、陽)。
 (11) 将来、俳句、和歌のように、「四コマ物語集」ができるかも?
 (12) 将来、四コマ物語の大きなネットができるかも?