如月 文実(きさらぎ ふみじつ)です。思春期その1 4作品を投稿いたします。 

 わが、四コマ物語ワールドにようこそ。作家としての人格、如月 文実(きさらぎ
 ふみじつ)です。
 今回の四コマ物語は、以下の4作品です。

思春期
如月文実
 この四コマ物語は、思春期にある少年の視線で書いた作品です。残念ながら、私は
男性なので、なかなか男性の立場でしか書けません。女性の方、どうかチャレンジし
てください。

かぶとむし
 (1) ○月○日、今日ぼくは、お父ちゃんと一緒に、近くの神社の夏祭りに行っ
た。そして夜店で、カブトムシを買ってもらった。毎年ぼくは、夜店でカブトムシを
買ってもらう。でも今年はちょっと違う。今年は、オスとメスの2匹を買ってもらっ
た。次の日、ぼくは、透明のプラスチックのノリの空き缶にオガクズを入れ、カブト
ムシの家を作った。缶のふたには穴を開け空気が通るようにしてある。エサは、食べ
残しのスイカの皮。家にはまずオスのカブトムシを入れ、これをオスのカブトムシの
家にする。次にメスのカブトムシを入れれば、メスのカブトムシはオスのカブトムシ
の家に嫁入りしたことになる。
 (2) ×月×日、今日、学校から帰ってカブトムシを見ると、オスのカブトムシ
のお尻の下に小さな角がはえていた。形は、頭にある小さな角によくにている。そし
て、この角がはえたカブトムシは明日死ぬ。去年も一昨年もそうだった。「このカブ
トムシも明日死ぬのかな。死んでほしくないな」。そう思って見ていると、突然、オ
スのカブトムシがお尻の角を、メスのカブトムシのお尻に突き刺した。メスのカブト
ムシは突然の出来事にびっくり仰天している。ぼくもびっくりした。「このままでは
メスが死んでしまう」。そう思ったぼくは、オスをメスから引き離した。次の日オス
のカブトムシは死んだ。それから何日かして、メスのカブトムシも死んだ。
 (3) △月△日、空屋になったカブトムシの家を、早く片づけなさいって、おか
あちゃんに叱られた。缶からオガクズを捨てようとしたら、中からカブトムシの幼虫
が出てきた。やっぱりあのカブトムシは結婚していたんだ。だから子どもが生まれた
んだ。そう思うと、ぼくはなんだかうれしくなった。
 (4) あの時、おれはまだ小学生だったが今はもう、高校生。だから、カブトム
シの行ったことの意味がわかる。そして、死ぬ間際の、オスのカブトムシの快楽の時
間を、知らぬこととはいえ、じゃましてしまったことを、すまないと思っている。あ
あ、でも、カブトムシがうらやましい。おれにも彼女はいるが、あんなカブトムシの
ような、大胆な行動は、おれにはできない。

おねしょ
 (1) ストーブの火がカーテンに燃え移った。火はカーテンから家中に燃え広が
ろうとしている。このままでは火事になり、焼け死んでしまう。清二は、やむをえず
ズボンのチャックをおろした。そして、「ガリバー旅行記」でガリバーがやったよう
に、自分の消火ホースから放水し、消火活動を始める。あっと言う間に火は消え、清
二はホッと一息ついた。…というところで、目が覚めた。と同時に、腰から膝にかけ
て、なにやら生暖かいものを感じた。次の瞬間、意識が完全に戻る。そして、パンツ
もパジャマもふとんもびしょぬれであることを改めて確認する。「やった…、やって
しまった…」。何とも言いようのない脱力感が体中をかけめぐる。そう今は夏、スト
ーブなどあるはずがない。なぜそこに気づかなかったのだ。そこに気がついていれば
、こんなことにはならなかったのだ。小学校5年生にもなって、なんてことをしてし
まったのだ。清二の心は後悔と恥ずかしさでいっぱいになった。清二はひさしぶりに
またおねしょをしてしまったのである。
 (2) しかし、いつまでもくよくよしている場合ではない。そう思い直した清二
は、さっそくおねしょの後始末に取りかかった。まずパンツをはき替え、濡れたパン
ツをあるていど乾かした後、こっそり洗濯物の中に入れておく。親に気づかれないよ
う、廊下は物音をたてないよう慎重に歩く。見つかりはしないかと心臓がドキドキす
る。次に、濡れたパジャマとふとんの水分をティッシュであるていど取った後、ドラ
イヤーで乾かす。幸い小便の色は黄色ではなく白だったので痕は残りにくい。ドライ
ヤーは音の小さな弱風を使い、親を起こさないよう注意する。さすがに5年生ともな
ると、その後始末も周到である。いつもの起床時間までにはなんとか乾くだろう。し
かしそれまでに親が気づいてこちらに来たら…。体中を緊張させながら清二は作業を
続けた。結局、作業は無事終わり、親にもバレずにすんだのだが、1週間後には林間
学校がある。もしそこでおねしょをしたら…。清二の不安は募るばかりであった。
 (3) そしてついに、林間学校での消灯の時間を迎えることになった。あれから
1週間、実は清二は、この時のため、いろいろ対策を練っていた。まず寝る前には水
分を控えめにし、トイレに2度行く。ふとんの中では、万が一、おねしょをした時の
対策として、寝間着がわりのトレパンをずらしておき、用意してきた2枚のタオルの
うち1枚をパンツの下に敷き、もう1枚はパンツの上に置いてパンツの足の所に少し
くいこませておく。こうすれば、まず、ふとんとトレパンは濡れないだろう。そして
トレパンのポケットには、着替えのパンツと濡れたパンツとタオルを入れるビニール
の袋をしのばせておく。この作業は周囲の友だちには気づかれないよう、ふとんの中
で慎重に行う。またきわめつけの対策として、なるべく眠らないよう心掛けた。とは
いえ、やはりそこは小学生、午前1時を過ぎるころにはとうとう眠ってしまった。
 (4) 夜明け前、清二は、股間の筋肉が強くつって目が覚める。と同時に、チン
チンが、2、3度痙攣をおこした。そしてその時…。次の瞬間、完全に意識が戻る。
「やった…、やってしまった…」。なんとも言いようもない脱力感が身体中をかけめ
ぐる。しかし漏れ出たのは少量で、おしりの方は濡れた感じはしない。「ぎりぎりセ
ーフだ」。被害が少なかったことで清二は気を取り直し、おそるおそるパンツに手を
やる。するとどうだろう。パンツの前の部分が、水で薄めたノリがついたように、ネ
チャネチャした感じで濡れている。最初なにがなんだか分からなかったが、さっき見
た夢の中で裸の女の人が出て来たのを思い出し、おおよその見当がついた。清二はお
ねしょの代わりに、生まれて初めて夢精をしたのである。

    もし夢ならば…
 (1) 今、春樹は、蒸気機関車の運転手として汽車を運転している。蒸気機関車
を自らの手で動かすというのは、春樹のかねてからの夢であった。シャベルで石炭を
すくい窯に投げこむ。速度レバーを動かす。汽笛を鳴らす。どれもこれもやってみた
かったことである。そして今、それが実現している。
 (2) 「しかし、なぜ、中学生のこのおれに、機関車の運転手ができるのだ」。
ふと春樹の心に素朴な疑問が湧いた。それに今、日本では、こんな古めかしい機関車
は走っていないはず…、それがなぜここに…」。疑問はさらに深まった。「もしかし
たらこれは夢かも…」。疑問はついに確信に近づく。今いる世界が夢か現実かを確か
める手段に、ほっぺたをつねるという方法がある。もし夢ならば、ほっぺたをつねっ
ても痛くない。もし現実ならば痛いはず。春樹は、それを確かめるため頬をつねって
みた。痛くない。もう1度つねってみる。やはり痛くない。これにより、今いる世界
が夢であることが判明した。どうやら、日ごろ、現実の世界で描いていた夢が、現実
として現れたのではなく、夢として現れたのだ。
 (3) しかし、それがわかったところで、なんの意味があるのだろうか。事実を
知ったことにより、かえって春樹はしらけた気持ちになってしまった。が、しかし、
すぐに春樹の頭の中に名案が浮かんだ。もし夢ならば…。そう思って後ろを振り返る
。すると思ったとおり、そこには小さな個室のドアがあった。もし夢ならば… と、
ドキドキしながらそのドアを開いた。そこには期待したとおり、裸の女性がベッドに
横たわっていた。「やった」と春樹は心の中で喚声をあげた。夢の世界というものは
現実の世界ではありえないことがありうる世界であり、自分の考え方ひとつでどうに
でもなり、なんでも願いがかなう世界でもある。今、思春期のまっただ中にいる春樹
は、1度エッチをしてみたいという欲求を持っていた。しかし現実の世界では、中学
生だし、お金もないし、襲うことなどできないし、そういう彼女もいないわけである
。しかし夢の世界は違う。夢の世界ではなにをやっても問題はない。ということで、
春樹はさっそく夢を実現しようとした。
 (4) ところが、春樹の心の中の神様は、それを許してはくれなかった。かんじ
んなところで、春樹は夢から覚めたのである。その時の春樹の悔しい気持ちは言うま
でもない。しかし夢はえてしてこういう結果に終わる。こんな時に夢の続きを見よう
ともう1度眠るのは、だれもが思いつくことである。春樹もそれを実行した。しかし
夢は続きを見ないものである。

魔が差す
 (1) 魔が差す。この言葉の意味は、ある国語事典では「ふと邪念がおこる」と
説明されている。人間の心の中のどこかに邪念という悪魔が住んでおり、何かの拍子
に、ふと人間によくない行動をおこさせる、「魔」という矢を心に向かって放つ。そ
れが心に突きさされば、人間はよくない行動をおこしてしまうのだ。しかし、人間の
心の中には、「良識」という神様も住んでおり、放たれた矢を払い落としてくれる。
そうしてよくない行動をおこさないようにしているのだ。悪魔は、何度となく、心に
向け矢を放つ。神様は、そのすべてを払い落とそうとする。ところで、悪魔と神様の
力関係、矢の種類や本数、強度は一人一人異なり、さらにその日の状況や心理状態、
コンディション、年齢などによっても異なる。そのため、矢が刺さるかいなかの、そ
の度合いは、人によってまちまちである。また、その矢が払い落とすべきものなのか
どうかを判断する神様の価値基準も人によって異なる。
 (2) 朝、目覚まし時計が鳴る。しかしまだ眠い。光夫はふとんから出ようとし
ない。だが、それから5分もたたないうちに、突然ふすまが空き、幼い妹が入ってき
た。そして、「こら、兄ちゃん起きろ」と、ふとんをはがしにかかった。光夫は仕方
なく起き上がり、目を開いた。眼には、スカートをはいた妹が映った。その瞬間、光
夫の心の中にいる悪魔が、スカートまくりをしろと書いた矢を放った。神様は、矢を
払い落とそうとした。しかし、「スカートまくりをしろ」という文字の前に「幼い妹
の」と書いたシールが貼り付けてあるのを見るやいなや、払い落とすのをやめてしま
った。矢は光夫の心に刺さった。「もう、兄ちゃんのエッチ」と、妹はすかさず飛び
けりをくらわした。
 (3) 玄関を出て、光夫は中学校へ向かった。最初まったく見られなかった学生
服も、学校に近づくにつれて多くなっていく。そして、今ちょうど、光夫の前には同
級生の2人の女の子が歩いており、彼女たちの足が1歩1歩前に進むたびに、スカー
トがひらひらと揺れる。それが目に写るたびに、光夫の悪魔はスカートをまくれと書
いた矢を放った。これに対し神様は、なんの躊躇もなく矢を払い落とし、1本たりと
も矢は刺さらなかった。そのため、妹の場合のようには光夫の手が動くことはなかっ
た。だが、スカートは結局まくられる運命にあった。光夫の脇をサッと走り抜けた男
が、パッとスカートをまくりあげ、悲鳴が鳴り終わらぬうちにサッと逃げた。「ヤッ
ちゃんだ」、光夫は心の中で叫んだ。ヤッちゃんの悪魔も、光夫を含めた男子生徒と
同じ種類の矢を放つ。だがその威力は、光夫を含めた男子生徒とは違い強力であった
。また、ヤッちゃんの神様は、その許容範囲が広かった。
 (4) スカートをまくられた女の子は、その場に立ちつくし、ポロポロと涙を流
した。一緒にいた女の子がその子を慰めた。光夫はどうすることもできないので、二
人の横を通り過ぎようとした。すると、さっきまで慰めていた女の子が、いきなり猛
然と光夫につっかかってきた。彼女は、自分の友人に恥をかかせた男に強烈な怒りを
覚えていた。そして、その男が光夫と仲がよいことを知っていた。それが付け目とな
り、彼女の悪魔は、光夫につっかかれと書いた矢を放ち心に刺さったのである。しか
し、それは光夫にとっては、とんだとばっちりでしかなかった。最初、光夫は、ヘラ
ヘラと聞き流していたが、それがかえって、彼女の悪魔の放つ矢の数を増やした。そ
して今度は、それが光夫の心に怒りを与えた。また光夫の悪魔が、スカートをまくれ
と書いた矢を放った。今度の矢はいままでのとは違い、怒りというパワーが加わり強
力であった。神様は、それを払い落とすことができなかった。矢は心に刺さった。今
度は、慰めていた女の子が悲鳴をあげた。光夫はヤッちゃんと同じようにさっと逃げ
た。その後、光夫の神様は、心につき刺さった矢をそっと抜いた。傷口からは「後悔
」という血が流れた。

・ーーー 四コマ物語 説明

四コマ物語とは
 (1) 四コマ物語とは、私、如月文実(きさらぎ ふみじつ)が新たに開発した
文学形態(?)です。
 (2) 四コマ物語は、起承転落の4小節からなる小説です。
 (3) 題材は、日常生活のできごと・道端で転がっているような話・スポ−ツ・
社会風刺・おとぎ話・パロディ−などさまざまです。
 (4) みなさんも挑戦してみませんか。そして、001、002と、ネットの中に四コ
マ物語ワールドを作ってみませんか。

 特徴、可能性
 (1) 文が短く、読みやすい・読むのにつらくない。
 (2) その中にもジャンルがいろいろある。
(3) ジャンルの中でもバカバカしいのからシビヤーなものまで、バライティー
にとむ。
 (4) ジャンルがいろいろあり、この先好きなものだけ拾い読みできる。
 (5) ジャンルがいろいろあり、老若男女はばひろく楽しめる。
 (6) 読者自信が自由に新たな四コマ物語のサイトを作ることも可能。
 (7) この形式に当てはめればだれでも簡単に小節が書ける。
 (8) この形式に当てはめて、既存の小説を四コマ物語にすることができる(要
約四コマ)。
 (9) これを元に短編、長編小説を書くことも可能。 
 (10) (4)[落]を組替えることにより小説を改造できる(陰、陽)。
 (11) 将来、俳句、和歌のように、「四コマ物語集」ができるかも?
 (12) 将来、四コマ物語の大きなネットができるかも?