如月 文実(きさらぎ ふみじつ)です。鉄道小説の後編を投稿いたします。

如月 文実(きさらぎ ふみじつ)です。
 しめしめ、やれやれの、山手線観光旅行後編です。
ーーーーー ここから
>  6
>  食べている最中に、突然兄から、
>  「山手線に目白駅と目黒駅があるよな。これってなにか意味があるのか」。
> と、いう質問が飛び出した。
>  この、目白と目黒という名称は、江戸の五色不動尊に由来し、これに関連する寺
> 院が、今も残っている。実は、過去、江戸五色不動尊めぐりを希望する友人から、
> ずっと歩くのはいやだからと、各寺院とその最寄り駅、効率よく移動できる路線経
> 路を教えてくれと頼まれたことがある。兄のことだ、それを話すと、行こうという
> に違いない。それでも、各寺院が、駅のすぐ近くにあるのなら、いいのだが、いづ
> れもちと離れていて、歩かなければならない。それがいやで、目白駅のガイドにつ
> いては、意図的にその説明は省いたのであった。
>  この事態をいかに交わすか。私がまごまごして考えていると、また、鶯谷駅の時
> のごとく、「知っているなら教えてくれよ」と兄は迫った。
>  と、そこへ、店員さんから、「目白には目白不動尊、目黒には目黒不動尊があり
> ますよ。私も行ったことがあります」と、イントネーションの違う日本語で、横槍
> を入れたのであった。
>  「日本人でないこの店員がなぜ、近場の観光で行ったのか。とにかくよけいなこ
> とお…」。
>  と、思っても後の祭り。案の定、記念物オ写真にとるのが趣味の兄は、行こうと
> いいだした。時間の関係もあるので、目黒の不動尊のみということに落ち着いたが
> 、これはもう、承諾せざるをえない状況になってしまった。
>  やれやれ。
>  新大久保駅を出たのは13字ごろで、まず、予定の渋谷駅へと向う。なお、この間
> 駅ガイドについては、鉄道マニアとしての維持も加わり行う。
>  新宿駅については、1日の乗客数が日本1で、ギネスブックの認定も受けている
> こと。
>  代々木駅については、島式ホームの山手線の向かいは、京浜東北線ではなく、中
> 央線であること。
>  原宿駅については、天皇のみがご利用できる、宮廷ホームがあること。ただし、
> 一般公開はされておらず、写真撮影は無理なこと。
>  ここで兄は、舌打ちをする。
>  やれやれ。
>  そして、渋谷駅で下車し、早々に、忠犬ハチ公と共に記念写真をとり、すぐまた
> 駅にもどる。
>  恵比寿駅については、その名前の由来は、七福神の恵比寿様ではなく、札幌ビー
> ルのブランド商品、恵比寿ビールの工場があったことからきていること。そして、
> 今は
> 、その跡地が恵比寿ガーデンプレイスとして再開発されたこと。
>  もし、ここで、兄が興味を示せば、下車して、ムービングウオークでタワーに移
> 動して、目黒の不動尊の代わりに時間をつぶせるのだが…。しかし、兄は最新建築
> には興味をしめさなかった。
>  やれやれ。
>  目黒駅については、その住所が、目黒区ではなく、品川区であること、初秋には
> 、近辺で、さんま祭りがあることをガイドした。
>  そして、目黒駅下車だが、外には出ず、東急の目黒千二乗り換える。勿論この目
> 黒駅からも目黒不動尊へは行けるが、東急目黒線不動前駅の方が若干歩く距離が
> 短い
> 。それに、JRと東急のホームは、2層構造となっており、その珍しい駅構造をてっ
> ちゃんに体験させたかったからだ。てっちゃんは、終始無言だったが、興味を持っ
> てくれたかな?
>  不動前の駅員さんに場所を確認し、細い道を歩く。
>  目黒不動尊(滝泉寺)は、思ったより広く、いくつかの仏像も置かれていた。兄
> は
> 、手を合わせることもなく、熱心にシャッターを切った。
>  やれやれ。
>  兄の用事が一段落して、すぐ不動前駅にもどる。そして、駅の切符を買おうとし
> たその時、てっちゃんが突然、ブドウ前の駅の切符を持って帰りたいといいだした
> 。理由は、目黒不動尊に行った記念ということで、乗り換えの目黒駅の切符と合わ
> せて、
> 「目黒」・「不動前」という一対の記念の切符にしたいとのことだった。
>  これは、子供らしい発想であると同時に、鉄道てっちゃんてきな発想でもあると
> 私は感じた。
>  しめしめ。
>  これにたいし兄は、理解をしめさなかったが、ここは私が両駅の切符を買ってて
> っちゃんにプレゼントした。
>  目黒駅に着いたのは16字少し前で、さすがに疲れが出てきた。ここで少し休憩で
> 、東京バナ奈を食べる。
>  さて、山手線にもどって兄の反応は。もしかして、ここから目白駅に行って目白
> 不動尊へと言い出すのではとひやひやしたが、兄も疲れが出てきているのか、それ
> は言わなかった。
>  やれやれ、いや、しめしめかな?
>  さあ、後は、東京駅まで私がガイドをして終了だ。疲れてはいたが、好きなこと
> にはパワーが出る。
>  大崎駅については、七夕の時期に、コンコースに七夕飾りが施されること。
>  五反田駅については、JR東日本でよく使われる、発車メロディの発祥地であるこ
> と
> 。
>  品川駅については、住所が、品川区ではなく、港区であること。その南方にある
> 駅が、南品川駅ではなく、北品川駅であること。
>  田町駅については、遠く岡山県には、同じ名前の駅があるのに、近くの地下鉄の
> 駅名は、田町駅ではなく、三田駅と違うこと。
>  すると突然、今度はてっちゃんが、三田線三田駅に行きたいと言い出したのだ
> 。
>  これは、多分、てっちゃんの家の最寄り駅が兵庫の三田(さんだ)線の三田(さ
> んだ)駅で、同じ文字なのに読み方が違うのに興味をもったのだろう。
>  これにたいし、兄は、「おじさんに迷惑をかけるんじゃない」とてっちゃんを諭
> しに かかった。
>  だが、せっかく芽生えたてっちゃんの鉄道マニアとしての心、摘み取られてなる
> ものかと、目黒不動尊に行ったことを引き合いにだし、私が兄を諭しにかかった。
> 結局
> 、下車することとなる。
>  しめしめ。
>  三田線三田駅では、その文字を確認した上で、改札口をバックに、私が二人の
> 写真をとった。
>  さて、これでもう、本日の予定は終了…と思いきや、今度は兄の意向で、次の浜
> 松町駅に下車することとなる。この浜松町駅のホームには、小便小僧の像があるの
> だが
> 、兄のことだ、ガイドをすれば写真にとると言い出しかねない。それで、あえてふ
> れずにいたのだが、兄の、記念物男の目は、それを見逃さなかった。そして、列車
> のドアが開くと、サッサと、てっちゃんを連れてホームに出た。私もやむなく下車
> するしかない。
>  やれやれ。
>  いや、これは鉄道ネタだからしめしめかな?
>  兄が熱心に小便小僧の写真をとった後、小便小僧を前に、私が2人の写真をとる
> 。
>  これにて、今度こそ、下車しての鉄旅は終了で、後は私のガイドのみ。
>  新橋駅については、日本最初の鉄道路線が、新橋〜横浜間であったこと。しかし
> 、今の新橋駅は、明治時代の新橋駅とは、場所が異なること。
>  有楽町駅については、東京メトロが連絡しているが、有楽町線が有楽町駅である
> のにたいし、日比谷線は、有楽町駅ではなく、日々や駅であること。
>  そして、東京駅に到着。ちょうど晩飯の時間帯だったので、駅内の店で食事をと
> る
> 。
>  私としては、名物駅弁を買って、家出食べたかったのだが、「荷物になる。後で
> ゴミになる」と兄に反対されてのことだった。
>  やれやれ。
>
>  7
>  次の日、お昼前に旅行からもどってくる、兄嫁を迎えに、3人で東京駅へと向っ
> た
> 。兄嫁と合流した後は、昨日とは違う店で食事をとる。食事中は、おたがいの土産
> 話に花を咲かせた。
>  やがて予定の時間が近づき、見送りの私も含め、4人が新幹線のホームに入り、
> 列車を待った。
>  ホームに新幹線が入り、3人は、別れの言葉を告げて中に入った。
>  ところで、その内容は、
>  兄が、「今度来た時には、五色不動尊めぐりを頼む」。
>  てっちゃんは、「秋葉原の、アニメのお店につれてって」。
>  そして兄嫁が、「私は、大久保のモンゴル料理が食べたい。他にもおいしい店に
> つれてって」。
> で、あった。
>  やれやれ。
>
 如月 文実(きさらぎ ふみじつ)です。これで終わりです。
 鉄道せっちゃんです。では、私は車庫の方に帰ります。