如月 文実(きさらぎ ぬみじつ)です。ほのぼの家族その1 3作品を投稿いたします。

わ わが、四コマ物語ワールドにようこそ。作家としての人格、如月 文実(きさら
ぎ ふみじつ)です。
 今回の四コマ物語は、以下の3作品です。

ほのぼの家族
如月文実
 この四コマ物語は、家族の間でありそうな事項を、四コマ物語として表現してみま
した。原則として、固有名詞は使わず、抽象名詞を使っています。
 どうでしょうか。ああ、なるほどと思う作品はあるでしょうか。

 犬も食わない
 (1) 土曜日の午後6時ごろ、おやじが会社から帰って来た。おやじは下請け工
場の経営者。といっても従業員はたった一人。小さな町工場だ。「先におフロにする
? それともごはん?」。おふくろがおやじに尋ねる。おやじはフロを選ぶ。その間
に、おふくろは飯の支度をする。おやじがフロからあがった後、一家団欒の食事が始
まる。食事が終われば、おふくろは後片付け。おやじとおれと弟は、テレビを見る。
おふくろが後片付けを終え、こちらに来る。そして、「あれっ、おとうさんは?」と
声をかける。見ると、さっきまでいたはずのおやじがいない。「まさかまた…」と何
かを直感したように、おふくろは近くのマージャン屋に電話をかける。やはりおやじ
がいた。そしてその夜はもちろんのこと、翌日もおやじはマージャン屋にいたままで
あった。「夜も寝んと、マージャンして、体でもこわしたらどないすんのよ…」とお
ふくろはグチをこぼす。それを聞くのがおれの役目だ。
(2) 月曜日の朝、おれが学校へ行こうとしていたその時、おやじが帰ってきた。
「おう、飯くれ」と、おやじが言う。「飯くれって、あんた、会社、どうすんの!」
。おふくろが聞く。「飯、食うたらすぐ行く」。「食うたらってあんた、寝てないの
に…」。「休まれへんやろが」。おやじが強い口調で言うと会話はそこで途切れる。
そして、おやじは飯を食うと、さっさと会社へ向かう。おれも、おふくろを尻目に学
校へ向かう。
(3) おやじは、一家の主人としての役割は、ちゃんと果たしている。仕事には、
まじめに取り組み、残業もよくする。稼いだ金も、ちゃんとおふくろに納めている。
家庭においても、夫として、父としての役割も果たしている。おやじは、まじめで実
直な性格だ。そしてそれが、遊びにも反映している。おやじはとことんまじめに仕事
をするからストレスもたまる。そのストレスを、とことん遊ぶことにより解消してい
るのだ。もちろんマージャンは、金儲けではなくストレス解消の手段なので、資金は
小遣いの範囲内。楽しみながら勝負をするので、大きく負けることはない。おふくろ
もそれは充分理解している。だが、家庭を守る役割を持つおふくろにとっては、マー
ジャンも、もう少し節度を持ってやって欲しいという気持ちがある。身を粉にして働
いたその延長線上で、また身を粉にして遊んだのでは、体をこわしてしまう。おやじ
には元気でいてほしい。元気で家族を支えてほしい。そういう気持ちがおふくろには
ある。そして、その二人の立場の違いが衝突を起こさせる。
(4) だがそれも、月曜日の夜におやじが無事に帰ってくると、鞘は元に戻る。お
やじは笑顔で、「すまんすまん」と平謝り。ここぞとばかりにおふくろは、「じゃあ
今度、洋服買って」と猫なぜ声で物をねだる。今朝の険悪な雰囲気はどこへやら。こ
んな会話に、息子のおれはあきれかえって、身体中が脱力々。おやじにスタミナ料理
を食べさせ、フロに入らせた後、その日はさっさと夫婦ひとつのふとんで床につく。
いつものことだが、これでまた、来月までは平穏な日々が続く。夫婦喧嘩は犬も食わ
ないと言うが、ほんまに夫婦の仲というものは、中学生のおれにはわからん。

お好み焼
(1) 今日、奥さんは、クラス会で外出。晩飯はいつもの店で出前を頼もうと思っ
ていた。だが、こんな時に限って、店はお休み。他にも出前を頼める店はある。しか
し、その電話番号がわからない。今から着替えて外に出て外食するのもおっくうだ。
仕方がないので、何かないかと冷蔵庫をのぞく。そこには、卵と千切りのキャベツが
あった。昨日食べたお好み焼きの残りの材料である。お好み焼きは、卵とキャベツと
水と小麦粉を混ぜ鉄板で焼けばすぐできる。幸い小麦粉はテーブルの上。鉄板も、見
える所においてあった。ということで、お好み焼きを作ることにした。
(2) まず、どんぶりに小麦粉を入れ、その上から水を注いで箸でかき回そうとす
る。ところが、小麦粉が水の下でコンクリートのごとく固まって、どんぶりにへばり
つき、ビクとも動かない。仕方がないので、手で、へばりついた小麦粉を剥がし、グ
ニグニと水に絡ませた。その後、冷蔵庫から卵とキャベツを取り出し、どんぶりにぶ
ちこんで、また箸でかき回す。ところが、キャベツをたくさん入れ過ぎたのか、回し
方が乱暴だったのか、キャベツの破片がどんぶりから飛び出す。仕方がないので箸を
ゆっくり慎重に動かした。
(3) なんとかお好み焼きの具ができた。いよいよ鉄板に油をひき、火をつけ、一
気に具を落として焼く。ところが、鉄板が充分熱くならないうちに具を落としたせい
か、水が多過ぎたせいか、具の横から汁が流れ出し、お好み焼きは、おたまじゃくし
のような形になる。
慌てて、テコで焼けたおたまじゃくしのしっぽを具に戻す。そのうちに、お好み焼
の裏が焼けてきた。テコを使ってひっくり返そうと持ち上げる。その瞬間、お好み焼
きがテコから滑り落ち、鉄板の上でいびつな形になってしまった。
(4) なんとかお好み焼きはできた。しかし、形は見るも無残で、ソースは塗って
あるが、青のりとかつおぶしは、どこにあるのか分からないのでかけてない。おまけ
に、焼き加減にむらがあり、食べると小麦粉のままの部分がところどころにある。は
っきり言ってうまくはない。しかし、これ以外に食べる物はない。自分の焼いたお好
み焼きは自分で処理するしかない。この時から、いろいろな料理を、いとも簡単にし
かも上手に作る奥さんに、敬意と感謝の念を持つようになった。



  娘よ
(1) 岩田家に3人目の子供が生まれた。かわいい女の子であった。一人目も、二
人目も女の子であり、子供は、女ばかりの3姉妹となった。「子供が三人とも娘でう
らやましい」。子供が、三人とも息子の弟はそう言うが、男親にとっては、複雑な気
持ちである。娘が三人だと、かわいらしさも3倍かもしれないが、その反面、将来く
る悲しみも3倍となるからだ。「娘が、このまま生長せずに、自分の所にいてくれた
ら…、嫁に行く日がこなければ…」。男親ならだれでも思うことだろう。その反面、
女親の方は、将来くるだろう、頼もしい息子に期待をよせているようだ。
(2) 幼稚園児の末娘に「大きくなったら、なにになるの」ときくと、娘は決まっ
て、「パパのお嫁さんになる」と言ってくれる。娘が、そう言ってくれるのは、男親
として、とてもうれしい。しかし、その反面、それがいつまで続くかと思うと、やは
り複雑な気持ちとなる。実際、上、2人の娘も、幼稚園児の時には、同じことを言っ
てくれた。しかし、それも、今はむかしの話。この前まで、一緒にフロに入ってくれ
た小3の娘も、もう一緒にフロには入ってくれない。体付きが少し、大人っぽくなっ
た小6の娘は、最近、ちっとも、口をきいてくれない。それだけ、娘が生長したと言
えばそれまでだが、男親として、さみしさを感じるのは当然のことだろう。



 (3) 今日は次女のため、赤飯をたいてお祝いをした。子供から大人になったお
祝いである。女親は、娘の生長をすなおに喜んだ。しかし、男親は、すなをに喜べず
、複雑な気持ちとなる。心配の種が一つ増えたからだ。生理が始まったと言うことは
、子供が生める体になったということだからだ。これからは、長女同様、間違いがお
こらないよう、さらに、監視の目を光らせる必要がある。しかし、親の心、子知らず
で、監視の目を強めようとすればするほど、娘は父親をうとましく思い、避けようと
する。先日、男の声で、娘に電話がかかってきた。「いったい、この男は何物、娘に
なんの用事があるのか」。男親は、どうしても悪い方向に考えてしまう。父親は、悪
い男から娘を守らなければならない。と、言うことで、娘が家にいたとしても、「い
ない!」と言って、ぶっきらぼうに電話を切手しまう。後で、娘に文句を言われるこ
とがわかっていても、それが、男親の悲しいサガなのだ。これにたいし、女親は、喜
んで受話器をわたす。そして、相手の男のことを、ねほりはほりきいて、「一度うち
に連れてくればいい」と言いだす。 



(4) 長女が男を連れてきた。早いもので、長女も二十を過ぎて、結婚しても、お
かしくないお年ごろ。それに、彼氏がいたことは、前からきいていた。覚悟はしてい
るつもりだった。心の準備はしているつもりだった。しかし、実際結婚するという男
をつきつけられると、空しさと怒りがこみ上げてきた。結婚するということは、つま
り、この男がこの先ずっと、娘とニャンニャンするということ。ここまでだいじに育
ててきたのに、結婚と言う契約により、どこの馬の骨ともわからないような男と、娘
を、自由にャンニャンさせることを緩さなければならない空しさ。ニャンニャンしや
がる男にたいする怒りがこみ上げてきた。結婚は絶対に許したくないというのが男親
の本音だが、そう言ってはいけないのが建前である。岩田家の男親は、悲しみを乗り
越えて、娘の結婚を承諾した。しかし、これで終ったわけではない。男親には、まだ
、あとふたつ、悲しみが残っている。
ーーー 四コマ物語 説明
四コマ物語とは
 (1) 四コマ物語とは、私、如月文実(きさらぎ ふみじつ)が新たに開発した
文学形態(?)です。
 (2) 四コマ物語は、起承転落の4小節からなる小説です。
 (3) 題材は、日常生活のできごと・道端で転がっているような話・スポ−ツ・
社会風刺・おとぎ話・パロディ−などさまざまです。
 (4) みなさんも挑戦してみませんか。そして、001、002と、ネットの中に四コ
マ物語ワールドを作ってみませんか。

 特徴、可能性
 (1) 文が短く、読みやすい・読むのにつらくない。
 (2) その中にもジャンルがいろいろある。
(3) ジャンルの中でもバカバカしいのからシビヤーなものまで、バライティー
にとむ。
 (4) ジャンルがいろいろあり、この先好きなものだけ拾い読みできる。
 (5) ジャンルがいろいろあり、老若男女はばひろく楽しめる。
 (6) 読者自信が自由に新たな四コマ物語のサイトを作ることも可能。
 (7) この形式に当てはめればだれでも簡単に小節が書ける。
 (8) この形式に当てはめて、既存の小説を四コマ物語にすることができる(要
約四コマ)。
 (9) これを元に短編、長編小説を書くことも可能。 
 (10) (4)[落]を組替えることにより小説を改造できる(陰、陽)。
 (11) 将来、俳句、和歌のように、「四コマ物語集」ができるかも?
 (12) 将来、四コマ物語の大きなネットができるかも?