如月 文実(きさらぎ ふみじつ)です。四コマ物語〜ご子孫様シリーズその2、3作品を投稿いたします。

ご子孫様シリーズ
如月文実
 この四コマ物語は、よく知られているおとぎ話等を、その子孫としてパロディイ化
した作品です。そして、(1)〜(3)では、元となる話を紹介していますが、(4
)の子孫はいったいなんの話でしょう。


子孫のカエル
 (1) 田んぼの近くにある工場の周りで、環境保全のため工場を閉鎖しようとい
うビラをまいている1匹のカエルがいた。何を隠そうこのカエル、「サイレントサマ
ー」で、工場廃水のため障害を受けたカエルの子孫であった。このカエルも生まれつ
言語障害を持ち、工場廃水の恐ろしさを訴え、工場を閉鎖に追い込むべく運動して
いるのであった。
 (2) しかし、カエルの訴えはいつまでたっても実を結ぶ気配がない。そこでつ
いにカエルは、路線を変更し、強行手段に訴えることを決意した。工場長の娘をさら
い、人質にして取引をしようというのである。何を隠そうこのカエル、「親指姫」
で、夜中に寝ている姫をさらったカエルの子孫でもあった。子孫も祖先同様、人さら
いの術は心得ていた。仲間を集め、こっそり中に忍び込み、催眠ガスを吸わせてまん
まと娘をさらった。
 (3) ところが、さらった娘のあまりの美しさにカエルは一目惚れしてしまった
。カエルは気がついた娘に、自分が高貴な家柄の血筋を引くカエルであることを筆談
と、身振り手振りで説明し、かわいいマリを差し出して求婚を迫った。何を隠そうこ
のカエル、悪い魔法使いにカエルにされたあの「カエルの王様」の子孫でもあった。
必死の説明にもかかわらず、いっこうに首を縦に振らない姫に対し、ついにカエルは
先祖と同じ手を使うことにした。カエルは、自分を思いきり壁にたたきつけてくれと
姫に頼んだ。そのショックで、祖先同様に、人間の王子様に戻ろうと考えたのである
。希望通りカエルは壁にたたきつけられたが、そのまま気絶してしまった。そのスキ
に姫は逃げた。
 (4) 気がついた時、残念ながらカエルは人間の姿にはなっていなかった。カエ
ルはカエルであった。そしてカエルは誘拐犯として追われる身となった。カエルは追
手から逃れるため、サンショウウオの住む小さな洞穴の中に逃げ込んだ。

  子孫のヘビ
 (1) 山の奥ふかくで、1人小屋に立てこもり修業をしている若い男の所に、突
然若い娘が現れた。そしてしつこく求婚を迫った。しかし、男は修業の身、そういう
わけにはいかない。修行僧がまったく相手にせず、無視していると、娘は逆上した。
そして、みるみるうちに体が大きなヘビにかわっていったのである。なにを各層この
ヘビ、「道成寺」でヘビに化け、修行僧を追い回したヘビの子孫であった。子孫も祖
先同様、若い修業僧が好みのタイプだった。おどろいた修業僧は、一目散に山を下り
逃げた。ヘビは勿論追いかけた。
 (2) 修行僧は、あるお寺の中に逃げ込んだ。逃がしてなるものかとヘビも寺の
中に入ろうとする。ところが、寺の中からたばこの煙がもくもくとたちこもるやいな
や、ヘビは後込みをしてしまった。なにを各層このヘビ、「たのきゅう」で、たぬき
と間違えた人間にうっかり自分の弱点を話し、ひどいめに合ったヘビの子孫でもあっ
た。子孫も祖先同様、たばこの煙がだいのにがてだった。しかし祖先とは違い、人間
の本当の弱点は知っていた。へびは大判小判で重職を買収し、修行僧を捕まえた。
 (3) ヘビには、もうひどいめに合わされた、修行僧に愛情はなかった。かわり
に、百倍の憎しみが燃えたぎっていた。ヘビは修行僧をひとのみにした。ところがそ
の直後、ヘビのおなかに激痛がはしった。ヘビはすぐさま山にもどり、消化のよくな
る薬草を食べた。なにを各層このヘビ、ひとのみにした人間を消化するため、人間を
溶かす草を食べたあの落語、「そば清」に出てきたヘビの子孫でもあった。子孫も薬
草のことはよく知っていた。
 (4) ヘビの首が落ちた。そして中かな剣を持った修行僧がでてきた。実はこの
修行僧、逃げ込んだ重職に剣を授かり、あわせて、薬草から身を守る薬を全身に塗っ
ていた。そして、ヘビをたいじする
策を、住職から教わっていたのだ。住職も、買収されたと見せかけていたのであった
。だが、これでヘビは死んだわけではなかった。やがて切り落とされた首の付け根か
ら、八つの頭がはえてきた。


  子孫のいじわる
 (1) ある、一人暮らしのおばあさんの家に、一人の、セールスマンのおじいさ
んがやってきた。おじいさんは、持ってきた商品を買えと、おばあさんを脅した。ち
なみに、持ってきた商品はガラクタばかりである。なにをかくそうこのおじいさん。
「はなさかじいさん」で、正直じいさんからホチをかり、結局ガラクタをしょいこん
だ、いじわるなじいさんの子孫であった。子孫も代々、その正確を引継ぎ、先祖より
残されたガラクタを押売りして、金を加勢でいたのであった。
 (2) ところがこのおばあさん、なかなかしぶとく、いくら口で脅しても、まっ
たくどうじない。しびれを切らしたおじいさんは、突然、「ニャ−ン。」と、ねこの
鳴きまねをした。するとどうだろう。おじいさんの体は、みるみるうちに変化し、も
ぐらの化け物と化した。なにをかくそうこのおじいさん、「おむすびころりん」で、
ねこの鳴きまねをしてねずみを追い払い、お宝を持ち帰ろうとしたところ、出口がわ
からず、穴を掘っているうちにもぐらになってしまった、あのいじわるなおじいさん
の子孫でもあった。その遺伝子は代々受け継がれ、「ニャ−ン。」と言うと、もぐら
の化け物に変身できるようになっていた。
 (3) しかしそれでも、このおばあさんは、どうじなかった。それどころか、睨
みつけるもぐらの化け物をよそ目に、たなの上から大きなつづらを取り出した。そし
て、つづらを開けると、なんとそこから化け物が現れた。なにをかくそうこのおばあ
さん、舌を切ったすずめのお宿におしかけ、化け物の入った大きなつづらを持ち帰っ
た、あの「したきりすずめ」の、いじわるなおばあさんの子孫であった。そして、も
ぐらの化け物とつづらの化け物の、壮絶な戦いが始まった。
 (4) 化け物どうしの戦いは、かろうじて、もぐらの化け物の勝利に終った。し
かし、もぐらの化け物もかなりのダメージを受け、元のおじいさんの姿にもどってし
まった。そんなおじいさんにたいし、まったく無傷のおばあさんは、ふところから、
とっておきの武器を取り出した。それは、すずめの舌を切ったはさみであった。「こ
のままでは商売道具の舌を切られる」。あせったおじいさんは、その場をごまかすた
めに、へたな踊りを踊った。

ーーー 四コマ物語 説明

四コマ物語とは
 (1) 四コマ物語とは、私、如月文実(きさらぎ ふみじつ)が新たに開発した
文学形態(?)です。
 (2) 四コマ物語は、起承転落の4小節からなる小説です。
 (3) 題材は、日常生活のできごと・道端で転がっているような話・スポ−ツ・
社会風刺・おとぎ話・パロディ−などさまざまです。
 (4) みなさんも挑戦してみませんか。そして、001、002と、ネットの中に四コ
マ物語ワールドを作ってみませんか。

 特徴、可能性
 (1) 文が短く、読みやすい・読むのにつらくない。
 (2) その中にもジャンルがいろいろある。
(3) ジャンルの中でもバカバカしいのからシビヤーなものまで、バライティー
にとむ。
 (4) ジャンルがいろいろあり、この先好きなものだけ拾い読みできる。
 (5) ジャンルがいろいろあり、老若男女はばひろく楽しめる。
 (6) 読者自信が自由に新たな四コマ物語のサイトを作ることも可能。
 (7) この形式に当てはめればだれでも簡単に小節が書ける。
 (8) この形式に当てはめて、既存の小説を四コマ物語にすることができる(要
約四コマ)。
 (9) これを元に短編、長編小説を書くことも可能。 
 (10) (4)[落]を組替えることにより小説を改造できる(陰、陽)。
 (11) 将来、俳句、和歌のように、「四コマ物語集」ができるかも?
 (12) 将来、四コマ物語の大きなネットができるかも?