如月 文実(きさらぎ ふみじつ)です。人間風刺その1 4作品を投稿いたします。

 わが、四コマ物語ワールドにようこそ。作家としての人格、如月 文実(きさらぎ
 ふみじつ)です。今回の四コマ物語は、以下の4作品です。

    社会風刺
如月文実
 ここでの四コマ物語は、四コマ物語にしては、シビヤーで、それでも四コマ物語風
な作品となっています。このような内容も、四コマ物語にて表現できるということで
す。

外圧
 (1) 国会開会を1週間後に控えたその日、首相官邸アメリカ大統領から1本
のホットラインが届いた。その内容は、次のとおりであった。          
       
 「次に開かれる国会中に、アメリカ合衆国に対する貿易黒字を、来年度までにゼロ
にすることを決議せよ。さもなくば、各有力議員の選挙区内の支持基盤地にミサイル
攻撃を加える。また、この件に関する問い合せを、いっさい行ってはならない。もし
問い合せを行っても同様にミサイル攻撃を行う」
 そのホットラインの内容に、首相は真っ青になった。そして、緊急に極秘に、与党
の実力者を集め、今後の対応を協議した。といっても、あれこれと議論したわけでは
ない。首相からホットラインの内容が報告された後、議員たちはミサイル攻撃から自
分の選挙区を、いや日本国を守るため、このアメリカの要求を呑むことを申し合わせ
た。
 (2) 国会開会を3日後に控えたその日、首相官邸に、再びアメリカ大統領から
1本のホットラインが届いた。その内容は、次のとおりであった。        
     
 「次に開かれる国会中に、アメリカの企業がスムーズに日本市場に参入できるよう
、大幅に規制緩和することを決議せよ。さもなくば、各有力議員の選挙区内の支持基
盤地にミサイル攻撃を加える。また、この件に関する問い合せを、いっさい行っては
ならない。もし問い合せを行っても同様にミサイル攻撃を行う」
 首相は再び緊急に極秘に与党の実力者を集めた。そして首相からホットラインの内
容が報告された後、議員たちは、ミサイル攻撃から自分の選挙区を、いや日本国を守
るため、このアメリカの要求を呑むことを申し合わせた。
 (3) 国会開会を翌日に控えたその日、首相官邸に、またもやアメリカ大統領か
ら1本のホットラインが届いた。その内容は、次のとおりであった。       
     
 「次に開かれる国会中に、アメリカに対し1兆円規模の大幅な経済協力を行うこと
を決議せよ。さもなくば、各有力議員の選挙区内の支持基盤地にミサイル攻撃を加え
る。また、この件に関する問い合せを、いっさい行ってはならない。もし問い合せを
行っても同様にミサイル攻撃を行う」
 首相はまたもや緊急に極秘に与党の実力者を集めた。そして首相からホットライン
の内容が報告された後、議員たちはミサイル攻撃から自分の選挙区を、いや日本国を
守るため、このアメリカの要求を呑むことを申し合わせた。
 (4) 国会開会から三日後、アメリカで一人の大学生が逮捕された。容疑は、偶
然見つけたアメリカと日本のホットラインの回線を、使っていたずらしたことであっ
た。また、その内容は知らされなかった。そして、どういうわけか、強行されてすぐ
に可決されるであろうと見られていた、三つの国会決議案の提出が見送られた。

ナイフン
 (1) ついにアシロン共和国に内紛がおこった。議会ビルが、議会派を支持する
軍によって占拠されたのだ。これに対し、大統領派も軍隊を出動させ、議会ビルを包
囲した。そして双方の軍のにらみ合いが始まった。事の発端は、民主化政策を急進的
に行おうとする大統領と、緩やかに行おうとする議会との対立からであった。チリエ
イン大統領は、自分の打ち出す民主化政策を、条件反射的に否決する議会に対し、議
会解散の大統領令を出した。これに対し、トーラブズハン議長も、大統領の不信任案
を可決し、双方の対立が決定的となった。それが今回の内紛の引き金となったのであ
る。そして双方ともに徹底抗戦の構えを見せた。
 (2) つい昨年までは、チリエイン大統領も、トーラブズハン議長も、旧軍国主
義政権を倒すため、共に戦ってきた仲間であった。だが、チリエインが大統領に、ト
ーラブズハンが議長の地位に着いた時から、両者の対立が始まった。トーラブズハン
の心のうちには、「一緒に戦ってきたのに、なんでわしが議長であいつが大統領やね
ん」という憤慨した気持ちがあった。そこで、「急激な改革はかえって社会の混乱を
招く」という大義名分のもと、大統領の案をことごとく否決し嫌がらせをしたのであ
った。これに対しチリエインの心のうちには、「おれのやることにいちいち因縁つけ
やがって」という憤慨の気持ちがあった。そこで、「民主改革を阻む旧政権の遺物の
一掃」という大義名分のもと、議会解散大統領令を出し、しかえしをしたのであっ
た。
 (3) 1週間続いたにらみ合いの後、対立はついに流血の惨事となった。軍事衝
突のきっかけは、大統領側は議会側軍が先に発砲したからだと、議会側は大統領側軍
が先に発砲したからだと発表したが、どちらが本当かは分からない。だが、ケンカ、
いや、内紛の行方は、圧倒的な数と武力を備えた大統領側の軍がだんぜん有利であっ
た。そして、小銃の発砲から始まった惨事は、戦車の発砲にまで拡大したあげく、わ
ずか3日間で終結した。
 (4) 内紛に勝利したチリエイン大統領は、民主主義の勝利を高らかに歌った。
そして心のうちでは、トーラブズハンに対し「へへん、ざまあ見ろってんだ」と叫ん
でいた。一方、内紛に敗北したトーラブズハン前議長は、獄中で独裁政治の危険性を
訴えた。そして心のうちではチリエインに対し、「ようもこんな目に合わせてくれた
な。覚えとれ」と叫んでいた。内紛は収まった。しかし内憤は収まらなかった。

権力
 (1) 自称、シンガーソングコメディアンの大門蛇男は、近々新しい曲を発表す
る。タイトルは「ほたてさんグラフィティ」。テレビの人気長寿アニメ「ほたてさん
」の生活ぶりや疑問点などを歌にした作品である。これまで大門は3曲のコミックソ
ングを出し、大ヒットとまではいかないが、ままヒットし、大阪ローカルのテレビや
ラジオに、ボツボツ仕事の口が入ってくるようになった。「ほたてさん」は、子供か
ら老人まで、誰でも知っている大人気番組である。そのネームバリューを借りれば、
大ヒットは間違いなく、それにより自分のネームバリューも全国区に広がるというの
が、大門の作戦であった。
 (2) しかし結局、「ほたてさんグラフィティ」は、世に出ることができなかっ
た。歌詞を見た原作者がカンカンになって怒り、著作権を行使して販売を許さなかっ
たのだ。あわてた大門は、問題視された歌詞「見てみたいな、ほたてさんと鮭男さん
のベッドシーン」という部分を削除した。しかしそれでも、原作者は首を縦に振らな
かった。絶大な人気という権力を持った「ほたてさん」には、駆け出しの新人歌手の
力など到底およばなかった。大門は虫けらのごとく蹴散らされた。「ほたてさんグラ
フィティ」は日の目を見ることなく、コンサートの席などで細々と歌われた。
 (3) それから10年の歳月が流れた。この年、「替え歌ヒットパレード」が大ヒ
ットし、大門は思いもよらず紅白歌合戦に出場することになった。歌唱力はさておき
、これにて大門は、紅白に出場した歌手としての権力を手に入れたのであった。
 (4) 大門は近々、新曲を発表する。タイトルは「世界のほたてさん」。歌詞は
、10年前に作った「ほたてさんグラフィティ」とほとんど同じである。大門は、発売
にあたって原作者の許可を求めた。最初原作者は、またクレームをつけたが、権力を
持った大門を、前のように虫けらのごとく扱うことはできなかった。結局、歌詞の「
ベッドシーン……」のところを省くことだけで折り合いがついた。そのおかげで、「
著作権問題で発売禁止」にはならず、「新曲発表」のニュースが流れた。大門は喜ん
だ。だがその反面、「ほとんど同じ歌詞なのに…」と虚しさも感じた。

人類滅亡の日?
 (1) 1999年8の月、新たな宗教団体が発足した。その名をノルトランダム教。
西暦2009年8の月に、人類が滅亡すると予言したノルトランダムを神とする宗教団体
である。教祖は、自らをノルトランダムの生まれ替わりと称し、信者になればその日
が来ても生き残れると説いた。しかしこの時、すでにコソボ紛争終結し、小さな国
家間でのいざこざ、異常気象などはあったものの、世界は全体として平和であった。
人類滅亡を予期させるような、世界を巻き込むような大きな変化はなかった。教団の
発足当初、信者はいっこうに増えず、幹部たちは収益を上げることができなかった。
 (2) 幹部たちはあせった。そして信者を増やすため、外回り、いや布教活動に
力を入れた。国家の内紛や国家間の武力衝突、地震や台風などの自然災害や異常気象
が起こるたびに、広告料まで出して、マスコミにも取り上げてもらい、それらは人類
滅坊の前兆であり、相互に関連しており、教義の通りだと解説し、不安を煽りまくっ
た。特にネタの乏しい時には、テレビや雑誌は、このエキセントリックな解説を競っ
て取り上げ視聴率を稼いだ。また、幹部たちは、紛争や災害で難民になった人達に積
極的にアプローチし、ノルトランダム教に入らなければこのさき生き残れないと触れ
回った。それでも、すぐには信者は集まらなかった。
 (3) しかし、1年たち、2年たちノルトランダムの予言したXデイが近づくに
つれ、人間には見通すことのできない未来に対し不安を抱く者が増えていった。絶え
ることのない紛争や異常気象のニュースに、「ひょっとしたら…」と考える人間が増
えていった。日がたち月が流れることが、まるで死のカウントダウンであるように思
えてくる者も増えた。こうしてxデイが近づくにつれ、信者はどんどん増えて、幹部
たちの収益もどんどん増えた。
 (4) ついに西暦2009年の8の月に入った。この時、ノルトランダム教の信者の
数はピークに達していた。信者は、くるべき時がきても自分だけは助かると信じてい
た。ところが世界は全体として見れば、あいかわらず平和で、10日を過ぎても20日
過ぎてもそんな兆しはない。世界を巻き込むような戦争も、人類を滅亡させるような
異常気象も、巨大な隕石の到来も、何も起こる気配がない。この状況に信者の中には
不審を抱く者が現れ始めた。8の月が進むにつれ、その数はどんどんと増えて、脱退
者もどんどん増えた。幹部たちはあせった。このままでは収益もどんどんと減ってし
まう。そして、信者たちを引き戻す方法を考えた。人類がさも滅亡するような事件を
起こし、信仰が間違っていないことを示し、信者を引き止めることで意見が一致した
。幹部たちは、8月31日までに、ある原子力発電所を爆破する計画を立てた。

 * この四コマ物語は、すでにはずれた、ノストラダムスの大予言を風刺した作品
ですが、その時代の流れに応じて、西暦と、宗教団体名、および、紛争名を変えるこ
とで、その時代にあった作品となります。

ーーー 四コマ物語 説明

四コマ物語とは
 (1) 四コマ物語とは、私、如月文実(きさらぎ ふみじつ)が新たに開発した
文学形態(?)です。
 (2) 四コマ物語は、起承転落の4小節からなる小説です。
 (3) 題材は、日常生活のできごと・道端で転がっているような話・スポ−ツ・
社会風刺・おとぎ話・パロディ−などさまざまです。
 (4) みなさんも挑戦してみませんか。そして、001、002と、ネットの中に四コ
マ物語ワールドを作ってみませんか。

 特徴、可能性
 (1) 文が短く、読みやすい・読むのにつらくない。
 (2) その中にもジャンルがいろいろある。
(3) ジャンルの中でもバカバカしいのからシビヤーなものまで、バライティー
にとむ。
 (4) ジャンルがいろいろあり、この先好きなものだけ拾い読みできる。
 (5) ジャンルがいろいろあり、老若男女はばひろく楽しめる。
 (6) 読者自信が自由に新たな四コマ物語のサイトを作ることも可能。
 (7) この形式に当てはめればだれでも簡単に小節が書ける。
 (8) この形式に当てはめて、既存の小説を四コマ物語にすることができる(要
約四コマ)。
 (9) これを元に短編、長編小説を書くことも可能。 
 (10) (4)[落]を組替えることにより小説を改造できる(陰、陽)。
 (11) 将来、俳句、和歌のように、「四コマ物語集」ができるかも?
 (12) 将来、四コマ物語の大きなネットができるかも?