如月 文実(きさらぎ ふみじつ)です。子供の目その1 3作品を投稿いたします。

 わが、四コマ物語ワールドにようこそ。作家としての人格、如月 文実(きさらぎ
 ふみじつ)です。
 今回の四コマ物語は、以下の作品です。

子供の目
如月文実
 この四コマ物語は、子供の視線に立って書いた作品です。

あさがお
 (1) 美幸は、家の玄関の花壇にあさがおの種をまいた。美幸の家の花壇は、玄
関と道路の間の、わずかなすき間に、植木鉢を5、6個置いたもので、その規模から
いうと花壇と言えるほどのものではない。それでも、美幸の家の周辺では、立派に花
壇と言えるほどの役割を果たしていた。美幸の住んでいる所は都会で、道路はすべて
アスファルトで固められており、雑草はおろか土の姿さえ見ることはできなかった。
また、車の往来も激しく、日中は休みなく騒音と排気ガスをまき散らしていた。そん
アスファルトの砂漠の中、土と生きている植物が唯一見られる場所が、美幸の家の
花壇であった。美幸の家の花壇は、砂漠のオアシスであり、道行く人の目を楽しませ
ていた。それに今、美幸のまいたあさがおが仲間入りしたのである。
 (2) やがてあさがおは、芽を出し葉を出し、ツルをどんどん伸ばし生長した。
そして、梅雨があけるころにはつぼみができ、初めての花を咲かせた。あさがおの花
は、その日のうちにはもうしぼむ。しかし、しぼんだ花はやがて種を作る。美幸は種
をとっておいて、来年またまくつもりでいた。美幸にとっては、花が咲くのと同様に
種ができるのが待ち遠しかった。
 (3) でも、初めてのあさがおの花は、種を作らなかった。「あさがおさん、種
を作るのに失敗したのかな」。美幸は最初そう思った。しかし、2番目のあさがおも
、3番目のあさがおも、4番目のあさがおも、種を作らなかった。そして美幸のあさ
がおはひとつの種も作れず秋を迎えてしまった。小学校1年生の美幸には、その原因
が分からなかった。
 (4) あさがおが枯れた後、美幸はパパにその原因を聞いてみた。「パパ、どう
して美幸のあさがおは種ができなかったの」「それはね、花にはおしべとめしべがあ
ってね、おしべの花粉がめしべにつかないと種はできないからだよ」。パパはやさし
く答えた。「じゃあ、どうして美幸のあさがおのめしべには花粉がつかなかったの」
「花粉はね、風がめしべまで運んでくれる場合と、虫がめしべまで運んでくれる場合
とがあってね、あさがおの花粉は、多分虫が運んでくれないとだめなんだろうね」「
美幸のあさがおは、虫さんが花粉を運んでくれなかったの」「多分そうだろうねえ」
「じゃあ、どうして、虫さんは花粉を運んでくれなかったの」。この質問に対し、パ
パは悲しそうな顔をした。そして、こう答えた。「それはね、この辺には虫がいない
からだよ」。

たんてい 
 (1) みなさんは、「たんてい」という遊びを知っていますか。これは、公園や
学校の運動場など、広い場所で行う、鬼ごっこのような遊びです。この遊びは10人か
ら15人くらいで行い、誰か一人が「いろはにほへとちりぬ、るをわかよた」と、横一
列となった人たちを、一人一人指差していきます。そして、「ぬ」に当たった者は「
ぬすと」グループ、「た」に当たった者は「たんてい」グループになり、たんていが
ぬすとを捕まえるという遊びです。その捕まえ方は、たんていが、ぬすとの体の一部
、あるいは衣服の一部をつかんだまま数を10を数えることです。ぬすとは10を数えら
れるまでは、たんていの手を振りほどこうと必死になります。しかし、10を数えられ
てしまったら、抵抗をやめ、おとなしく捕まります。それはたとえ、たんていがいじ
められっ子、ぬすとがいじめっ子であったとしても同じです。それがこの遊びのルー
ルなのですから。
 (2) ぬすとたちは、捕まりにくいよう、四方に散らばって逃げる。たんていは
、ルール上、10を数えてからでないとぬすとを追い掛けられない。10を数えた後、た
んていとなった身体の小さな少年は、ぬすととなった身体の大きな少年を追い掛ける
。このたんていは、普段はいじめられっ子、ぬすとは普段はいじめっ子。しかし今は
立場が逆。ぬすととなった少年は、太っていて足が遅い。たんていはたちまちぬすと
を追いつめた。
 (3) ところが、たんていがぬすとを捕まえようとしたその時、ぬすとは、振り
返って立ち止まり、たんていをにらみつけた。その瞬間、たんていは、二人の立場が
一瞬のうちに、いじめっ子といじめられっ子の立場に戻ったような気になった。たん
ていはひるんだ。それをよいことに、さらにぬすとは「何か文句あるのか」と低い声
でたんていを威嚇した。たんていは、黙ったまま、自然に足が一歩一歩後退していっ
た。
 (4) ところが次の瞬間、いじめっ子の鬼のような怖い顔が、ニヤッとした顔に
なった。と同時に、このすきにとぬすとはぬすとらしく逃げ出した。「あっやられた
」、たんていはルールを再確認し、ぬすとを追い掛けた。

おばけ屋敷
 (1) 午後8時半、塾の授業が終わり、勇助は歩いて家に向かう。家路の途中に
は、誰も住んでいない、古びた3階建ての小さなアパートがある。もう、長い間誰も
住んでいないだけあって、玄関のドアははずれ、横倒しとなり、窓のガラスも割れ、
破片だけが残っている。太陽の照っている間はそうでもないが、暗くなり辺りがシー
ンと静まりかえっていると、やはり不気味な感じがする。友達の間では、そこをおば
け屋敷と呼んでおり、夜ここを通る人間におばけが「こんばんわ」と挨拶するという
噂がある。実際、クラスの友達のナカっちやタカやんは、おばけの声を聞いたという
。家に帰るには、どうしてもその道を通らなければならない。おばけ屋敷にさしかか
る道の手前から、勇助は全速力で駆け出した。目は前方より少しおばけ屋敷の反対側
に位置させ、間違ってもおばけ屋敷が視界に入らないよう注意した。そして無事デッ
ドゾーンを通り過ぎた所で速度を落とし、ホッと息をついた。ところがその次の瞬間
、突然、後ろの遠い所から「こんばんわ」という声が聞こえた。勇助はまた全速力で
無我夢中で走った。
 (2) 次の日、学校で休み時間の時、勇助は昨日の出来事をナカっちとタカやん
に話した。二人とも経験者だけあってうんうんとうなずき、やがて話は大いに盛り上
がった。そこへ、お調子者のフッくんが「いっぺん、おばけ屋敷、探検してみーへん
」と、話の中に割り込んできた。怖がりの勇助は「嫌だ!」と心の中では叫んだが、
ガキ大将的存在のタカやんが、「おもろいな、ほなら、今度の日曜、みんなで探検し
ょうか」と言ったものだから、後には引けなくなってしまった。
 (3) そして日曜日、タカやんの弟を加えた5人の小さな探検家が、おばけ屋敷
の前の道路に集合した。タカやんが、わざわざ弟を加えたのには、わけがある。おば
け屋敷を探検するのに4という数は縁起が悪いからだ。昼なのでおばけも眠っている
はずで大丈夫だとは思ったが、用心のためみんな十字架を首からぶらさげていた。と
いっても、本物の十字架をかけているのはお金持ちのナカっちだけで、後のみんなは
、十字に組んだワリバシをワゴムでとめ、タコ糸で首からぶらさげたものであった。
結局、本物の十字架が一番魔除けの効果があるということで、ナカっちが先頭にさせ
られ、屋敷の中に入ることになった。おばけ屋敷の入り口の通路は薄暗く、今にも何
か出そうな雰囲気であった。とその時、密着した列の後ろから「こんばんわ」という
声がした。一瞬みんなドキッとしたが、その声の主がフッくんだということがすぐに
分かった。みんなの顰蹙をかったフッくんが、今度は先頭を歩かされることになった
。5人は密着した列をくずさないようにして、1階の端から端を探検した。しかし、
眠っているおばけは発見できなかった。口ではみんな「おばけが見つからない」と残
念がり、タカやんなどは「おれらに恐れをなし、逃げ出したんとちゃうか」と空威張
りをしていたが、内心ではおばけに出くわさないことにホッとしていた。結局1階で
は、何も発見できず、探検する範囲を2階へ広げることにした。
 (4) 5人は2階へ上がった。そしてこれから探検を始めようとしていたその矢
先、どこからともなく「こんばんわ」という声が聞こえてきた。それはまさしくおば
けの声であった。「出た!」と5人のうちの誰かが叫ぶが早いか、みんないっせいに
階段を駆け降り、おばけ屋敷の外に出た。無我夢中で走り抜けた5人は、道路に出た
所で足を止めた。「とにかく助かった」。そんな安堵感が勇助の心の中に漂い、それ
が勇助の目をおばけ屋敷の方向に無意識のうちに向けさせた。突然、勇助は「あっ!
」と叫んだ。この声に驚いた他のみんなは勇助の顔を見た。そしてすぐ勇助の視線を
追って、おばけ屋敷の2階の割れた窓を見た。そこにはインコがとまっていた。

ーーー 四コマ物語 説明

四コマ物語とは
 (1) 四コマ物語とは、私、如月文実(きさらぎ ふみじつ)が新たに開発した
文学形態(?)です。
 (2) 四コマ物語は、起承転落の4小節からなる小説です。
 (3) 題材は、日常生活のできごと・道端で転がっているような話・スポ−ツ・
社会風刺・おとぎ話・パロディ−などさまざまです。
 (4) みなさんも挑戦してみませんか。そして、001、002と、ネットの中に四コ
マ物語ワールドを作ってみませんか。

 特徴、可能性
 (1) 文が短く、読みやすい・読むのにつらくない。
 (2) その中にもジャンルがいろいろある。
(3) ジャンルの中でもバカバカしいのからシビヤーなものまで、バライティー
にとむ。
 (4) ジャンルがいろいろあり、この先好きなものだけ拾い読みできる。
 (5) ジャンルがいろいろあり、老若男女はばひろく楽しめる。
 (6) 読者自信が自由に新たな四コマ物語のサイトを作ることも可能。
 (7) この形式に当てはめればだれでも簡単に小節が書ける。
 (8) この形式に当てはめて、既存の小説を四コマ物語にすることができる(要
約四コマ)。
 (9) これを元に短編、長編小説を書くことも可能。 
 (10) (4)[落]を組替えることにより小説を改造できる(陰、陽)。
 (11) 将来、俳句、和歌のように、「四コマ物語集」ができるかも?
 (12) 将来、四コマ物語の大きなネットができるかも?