如月 文実(きさらぎ ふみじつ)です。擬人の目その1 3作品を投稿いたします。

わ わが、四コマ物語ワールドにようこそ。作家としての人格、如月 文実(きさら
ぎ ふみじつ)です。
 今回の四コマ物語は、以下の3作品です。

擬人の目
如月文実
 ここでの擬人は、人で無い存在を擬人化し、その目で人を見るという形をとってい
ます。まあ、夏目 漱石大先生の「我輩は猫である」のような形ですね。


 (1) ただいま地球は、氷河期の真っ最中。厳しい環境のため、地球上の生物は
みな存亡の危機に瀕していた。これまで地球を支配していた恐竜たちは、環境の変化
に耐えられず、すでに絶滅していた。他の動物たちも植物たちも、絶滅した種は少な
くない。どの動物も植物も、生き残るため必死になっていた。その中で、麦類は、寒
さに耐え忍ぶ強靭な体を作りあげていった。だがそれだけでは心もとなかった。
 (2) そこで麦は、お互いに協力し合い、助け合い、ともに種の繁栄をめざせる
パートナーを求めた。そして麦は、最高のパートナーを見つけた。それは、人間だっ
た。人間は、この寒さで食物が不足し、こまっていた。そこで麦は、自分のこしらえ
た種の多くを食料として人間に与えた。そしてその代わりに、残った種を人間に育て
てもらった。こうして人間は、安定して食料を得ることができ、麦も安定して子孫を
増やすことができるようになった。
 (3) やがて人間は、地球上のいたる所に勢力を伸ばし、すべての生物の頂点に
達し、他の生物を支配するようになった。これに伴い、人間と共生している麦も勢力
を伸ばし、他の植物を支配するようになった。
 (4) その後、麦に習い、トマトやホウレン草、リンゴやミカンなどの植物、イ
ヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジなどの動物も、人間との共生を計り、安定してその子
孫を増やしていった。その一方で、人間とは共生できなかった動植物は、その勢力範
囲を狭め、絶滅するものも数多くいた。
養殖魚
 (1) ぼくはシャケ。生まれたばかりのシャケの赤ちゃん。卵からかえった時、
ぼくのいる空間内には、見渡すかぎりぼくの仲間でいっぱいだった。他の魚は1匹も
いない。みんなぼくと同じ、生まれたばかりの赤ちゃんだ。食べ物は、川の外から2
本足で歩く大きな生き物が、決まった時間に与えてくれる。川を少し下ると網に突き
当たり、そこから向こうへ行くことはできない。でもその代わりに、ぼくたちを狙う
魚もこの中には入ってこれず、網は、ぼくたちを守る安全な空間を作ってくれている
。そんな中でぼくたちは、すくすくと育った。
 (2) 太陽光線のまぶしくなる初夏に入ろうとしたころ、ぼくたちはずいぶん大
きくなり、網の中の限られた空間内では窮屈になっていた。そして心の奥底では、だ
れかが、「川を下れ、川を下れ」としきりに騒いでいる。今はもう、網の外へ出たく
て出たくて仕方がない。そんな矢先、ぼくたちを狭い空間に閉じ込めていた網が消え
た。解放されたぼくたちは、ここぞとばかりに川を下った。ふと川の外を見てみると
、ぼくたちをいままで育ててくれた、ぼくたちにとっての神様が手を振っていた。ぼ
くたちの願いを知り、網を消してくれたのも、神様に違いない。ぼくは感謝の気持ち
を込めて、水面を飛びはねた。
 (3) それからというもの、ぼくを取り巻く環境はがらりと変わった。食べ物を
取ることも、身を守ることも、すべて自分で行わなければならなくなった。一緒に生
まれ育ち、旅立った仲間の多くは、他の魚のエサになった。網の外、特に海という広
大な空間には、危険がたくさん泳いでいる。でも、まだぼくはよい方らしい。ロシア
から来た、同種の友達の暮らしは、生まれた時から苛酷で、神様などいなかったらし
い。
 (4) 海に来てからはや3年。ぼくの体長も1メートルほどになった。そして今
また、心の奥底でだれかが、「故郷に帰れ、故郷に帰れ」と叫んでいる。これからぼ
くは、故郷に帰る。そこで卵を作るんだ。海をぬけ川に入り、だんだん故郷に近づく
につれ、どんどん仲間も増えてきた。もうすぐ故郷に着くというところで、ぼくは川
の外に神様の姿を見た。神様はぼくたちの成長した姿を、わざわざ見に来てくれたん
だ。……だが、そう思ったぼくはバカだった。神様は、故郷に向かおうとするぼくた
ちをかたっぱしから捕まえ、川の外に放り出した。そして、お腹を裂き、ぼくたちを
次々と殺していった。神様は、神様ではなかった、悪魔だった。最初、ぼくたちを育
てたのは、ぼくたちを食べるためだったんだ。ぼくは騙されていた。でも、ぼくのお
腹から取り出された精子は、別のメスのお腹から取り出された卵子にかけられ、ぼく
はたくさんの子の親になった。ぼくたちの最大の使命は、子孫を残すこと。そういう
意味では、ぼくたちは悪魔に感謝しなければならないのだろうか。
 国際交流
 (1) 我輩はクワガタ虫である。今、住んでいる所は、台湾のある山の中。先祖
代代この山に住んでおり、我輩としては、別の所、特に海を隔てた異国に住みたいと
いう希望がある。だが我輩、トンボやチョウに比べ、飛ぶのがやや苦手である。しか
し、方法はある。海の向うの日本と言う国で、我輩の仲間がペットとして飼われてい
る。そして近年、バイヤーと言うのがこちらに来て、我輩らを日本に持ち帰るそうだ
。命がけではあるが、水からが囚われの身となれば可能性はある。
 (2) 囚われの身となり、海を越え、我輩は日本のデパートと言う所に住むこと
となった。その間、低調に扱われる代わりに、厳重な警備の中、狭い部屋に監禁され
た。これでは脱出はおろか、身動きすらとれない。ああ、このまま、一生を終えるの
か。何日か不安な日々が続いたが、ある少年に買われてから、状況は変わる。警備が
あまくなり、すきを見て、我輩は脱出することに成功した。近くに格好の林があり、
中に逃げ込んだ。
 (3) その林で、我輩は日本生まれのくわがた虫に出会い友達となる。いわゆる
国債交流である。それから、現地のメスと結婚することともなった。いわゆる、国
債結婚である。そして卵が生まれた。いわゆる、ハーフである。こうして我輩らは幸
せに暮した。
 (4) 我輩、人間の考えることが理解できない。人間同士は、国際交流、国際結
婚、ハーフも、人間の自由な権利として認めている。それを認めない者を、人権侵害
として批難する。だのになぜ、我輩らには、「固有種の保存」という理屈で、国際交
流をも、認めようとしないのか。
ーーー 四コマ物語 説明
四コマ物語とは
 (1) 四コマ物語とは、私、如月文実(きさらぎ ふみじつ)が新たに開発した
文学形態(?)です。
 (2) 四コマ物語は、起承転落の4小節からなる小説です。
 (3) 題材は、日常生活のできごと・道端で転がっているような話・スポ−ツ・
社会風刺・おとぎ話・パロディ−などさまざまです。
 (4) みなさんも挑戦してみませんか。そして、001、002と、ネットの中に四コ
マ物語ワールドを作ってみませんか。

 特徴、可能性
 (1) 文が短く、読みやすい・読むのにつらくない。
 (2) その中にもジャンルがいろいろある。
(3) ジャンルの中でもバカバカしいのからシビヤーなものまで、バライティー
にとむ。
 (4) ジャンルがいろいろあり、この先好きなものだけ拾い読みできる。
 (5) ジャンルがいろいろあり、老若男女はばひろく楽しめる。
 (6) 読者自信が自由に新たな四コマ物語のサイトを作ることも可能。
 (7) この形式に当てはめればだれでも簡単に小節が書ける。
 (8) この形式に当てはめて、既存の小説を四コマ物語にすることができる(要
約四コマ)。
 (9) これを元に短編、長編小説を書くことも可能。 
 (10) (4)[落]を組替えることにより小説を改造できる(陰、陽)。
 (11) 将来、俳句、和歌のように、「四コマ物語集」ができるかも?
 (12) 将来、四コマ物語の大きなネットができるかも?