如月 文実(きさらぎ ふみじつ)です。人間風刺その2 2作品を投稿いたします。

 わが、四コマ物語ワールドにようこそ。作家としての人格、如月 文実(きさらぎ
 ふみじつ)です。
 今回の四コマ物語は、以下の2作品です。
人間風刺 その2
如月文実
 人間風刺は、四コマ物語の原点をなすところです。全ての四コマ物語のサイトは、
人間風刺に集約されると言っても過言ではありません。

  共同募金
 (1) 師走に入った忙しい時期、彼女から金太に電話がかかってきた。てっきり
今度のクリスマスパーティーの話かと思いきや、共同募金のお願いであった。それも
寄付してほしいと言うお願いではなく、いっしょに街頭に立ち、道行く人から寄付を
お願いしてほしいと言う話だった。「なんでおれが、そんなことをしなけりゃならな
いんだ」とは思ったが、彼女の頼み、断ることはできなかった。
 (2) 朝、目が覚めて外を見る。雲一つない日本晴れである。「雨でも降ってく
れれば、今日は行かなくともすんだのに…」。窓を開けると鋭い冷気が飛び込んでく
る。今日はこの冬一番の寒さらしい。「このくそ寒いのに本当にみんな集まるのか」
。金太は半信半疑で集合場所に向かう。すると熱気に満ちた面々がすでに集まってい
て準備にとりかかっていた。リーダーは、それぞれの役割を決め、それぞれに募金の
七つ道具をわたす。彼女は、ハンドマイクを持って街頭宣伝をする。金太は、募金箱
を持たされ、募金係となった。
 (3) ハンドマイクを持った彼女も、持たないメンバーも、声を上げて募金の協
力を、道行く人にお願いする。だが金太だけは、声を上げることができなかった。「
このくそ寒い中、なんでおれが、のざらしになって、こんなことをしなければならな
いのだ」。呼び掛けても呼び掛けても、群衆はただ素通りするばかり。10分、20分た
っても、なんの反応もない。やがて足の先から冷気がどんどん体の中に入ってくる。
募金箱を持つ手は、冷気と筋肉疲労でしびれてくる。立っていることすらつらくなる
。「後、2時間近くもこんな体勢でいなければならないのか」。そう思うと、空しさ
と心の冷気が体中をかけめぐる。
 (4) しかし、つったってから1時間もたとうとしたその時、群衆から一人外れ
て金太の所に近付く者が現れた。彼は金太の前で黙って立ち止まり、ポケットから小
銭を取り出した。そして小銭は、金太の募金箱の中に入っていった。募金箱から、チ
ャリン、チャリンと言う音が金太の耳に響き、僅かな重量感が、痺れた指に伝わる。
この瞬間、金太は「やった!」と思った。そして思わず金太の口から「ありがとうご
ざいます」と言う言葉が出た。

  ポイントカード
 (1) 最近、近所に、大手の電化製品のディスカウントショップができた。出不
精の平さんも、家の近くと言うことで、ディスカウントショップなる所に、買い物を
してみることにした。商品は、みな、信じられないほど安かった。そして、いままで
利用してきた小売りの電気店には、なにか、だまされていたような気になった。予定
よりも、少し商品を多めに選んだ後、平さんは、レジへ行く。レジでお金を払おうと
すると、店員から「ポイントカードはお持ちですか」ときかれた。ホイントカードが
どんな物かよくわからなかった平さんは、逆にポイントカードとはなにかときいた。
店員は丁寧に説明してくれたが、平さんにとっては、丁寧に説明しなければならない
ほど、ポイントカードは複雑な物だと感じ、内容がよく飲み込めない。ただ、それを
持ってここで買い物をすると、得をすることだけはわかった。しかし、電気屋で買い
物するのは、めったにないことだし、いちいちそのつど、カードを持ってくるのもめ
んどうなので、作るのを拒否した。
 (2) しかし、何回か、この店を利用するうちに、結局、平さんは、ポイントカ
ードを作ることになった。本当は、作りたくなかったのだが、お金を支払うたびに、
レジの店員から、「ホイントカードはお持ちですか?」ときかれ、「いえ、持ってい
ません」と返答するのがいやだった。なにか、無免許運転している者が、警察官に、
「運転免許証はお持ちですか」と詰問されているようでいやだった。それで、ホイン
トカードを作る決意をしたのであった。
 (3) 商品を持って、レジに行った時、平さんはポイントカードを、うっかり家
に忘れてきたことに気がついた。せっかくカードを作ったのに、このままではまた、
「ホイントカードはお持ちですか」と、レジの店員に検査されてしまう。ここで、「
忘れました」とか、「持っていません」とか言って、店員に、なにかつっこまれるよ
うなことも言われたくない。そこで、詰問される前に、「ポイントカードを作ってく
ださい」と店員に言ってやった。これで平さんは事なきをえた。
 (4) この日、平さんは初めて、ポイントカードを忘れずに持って、買い物に出
かけた。レジの店員に、「ホイントカードはお持ちですか」ときかれ、平さんは、ポ
ケットからカードを取り出した。カードはなんと5枚もあった。
ーーー 四コマ物語 説明
四コマ物語とは
 (1) 四コマ物語とは、私、如月文実(きさらぎ ふみじつ)が新たに開発した
文学形態(?)です。
 (2) 四コマ物語は、起承転落の4小節からなる小説です。
 (3) 題材は、日常生活のできごと・道端で転がっているような話・スポ−ツ・
社会風刺・おとぎ話・パロディ−などさまざまです。
 (4) みなさんも挑戦してみませんか。そして、001、002と、ネットの中に四コ
マ物語ワールドを作ってみませんか。

 特徴、可能性
 (1) 文が短く、読みやすい・読むのにつらくない。
 (2) その中にもジャンルがいろいろある。
(3) ジャンルの中でもバカバカしいのからシビヤーなものまで、バライティー
にとむ。
 (4) ジャンルがいろいろあり、この先好きなものだけ拾い読みできる。
 (5) ジャンルがいろいろあり、老若男女はばひろく楽しめる。
 (6) 読者自信が自由に新たな四コマ物語のサイトを作ることも可能。
 (7) この形式に当てはめればだれでも簡単に小節が書ける。
 (8) この形式に当てはめて、既存の小説を四コマ物語にすることができる(要
約四コマ)。
 (9) これを元に短編、長編小説を書くことも可能。 
 (10) (4)[落]を組替えることにより小説を改造できる(陰、陽)。
 (11) 将来、俳句、和歌のように、「四コマ物語集」ができるかも?
 (12) 将来、四コマ物語の大きなネットができるかも?