如月 文実(きさらぎ ふみじつ)です。子供の目その2 2作品を投稿いたします。

 わが、四コマ物語ワールドにようこそ。作家としての人格、如月 文実(きさらぎ
 ふみじつ)です。
 今回の四コマ物語は、以下の2作品です。

子供の目その2
如月文実
 この四コマ物語は、子供の視線に立って書いた作品です。
おフロ屋さん
(1) 昨日、ぼくの家のおフロが壊れた。なおるのに1週間もかかるんだって。そ
れで、ぼく今日、おとうちゃんと一緒に初めておフロ屋さんに行くんだ。おフロ屋さ
んのおフロに入るには、電車に乗るのと同じで、自動販売機で券を買わないといけな
いんだって。おとうちゃんの話だと、むかしはお店の人に直接お金を渡していたんだ
って。うちのおフロならタダで入れるのに、なんかもったいないなあ。中に入ると、
何人かの大人が服を脱いだり着たりしていた。奥には、もう一つドアがあって、その
中におフロがあるんだ。ぼくはおとうちゃんより早く服を脱いで、ドアの中に入った
。おフロ屋さんのおフロは、うちのおフロよりもとっても大きい。まるでプールみた
いだ。
 (2) お湯に手を入れたらとっても熱かった。がまんできなくて、ぼくはすぐに
手を外に出した。家のおふろだったら熱かったら水を入れるのに、ここには水を入れ
る所がない。これじゃあぼくはおフロに入れない。と思っていたら、おとうちゃんが
洗面器で、おフロのお湯をぼくの頭の上からジャブンとかけた。「あちちちち!」と
、ぼくは飛びはねちゃった。「これで入れるやろ」と、おとうちゃんは笑って言った
。でもやっぱり熱い。だけど、ぼくも幼稚園ではお兄さんの組。勇気を出して一気に
肩まで入るぞ。ジャブーン! そしたら体中が熱さでヒリヒリした。でもだいじょう
ぶ、がまんしてたらヒリヒリするのもなくなった。だけどその代わりに、ぼくは急に
おしっこがしたくなっちゃった。
 (3) ぼく、おフロ屋さんに来たのは今日が初めて。だからぼく、トイレがどこ
にあるのかわかんない。でも、知らないおじさんたちのいる前で、トイレがどこにあ
るかなんてききたくない。だってぼく、赤ちゃんじゃないんだもん。「おしっこした
い」なんて言いたくない。ハダカでトイレに行きたくない。でも一生懸命がまんしよ
うと思ったけど、おしっこがチンチンの根元まで来ちゃった。もれそう! ぼくは、
両手でチンチンを握って、もれないようにがんばった。するとおしっこはもれなかっ
たけど、とても苦しくなってきた。今からおフロを出てトイレを捜しても、きっと途
中でもっちゃう。仕方がないので、ぼくはおフロの中でおしっこした。おフロもおし
っこも同じ水だから、誰にもわかんないや。
 (4) だけどぼくがおしっこをし始めた時、おとうちゃんが急に、「頭、洗った
るから、あがってこっちにこい」と言った。今おフロを出ちゃうと、おしっこしてる
のがバレちゃう。ぼくは「もうちょっと待って」とおとうちゃんに言った。すると、
おとうちゃんは、「けえへんのやったら、先にあがっとるぞ」と、おフロを出ようと
した。びっくりしたぼくは、「あっ、ちょっと待って」と、思わずおフロの中で立っ
てしまった。とたんにおとうちゃんの顔は怖い顔になった。そして、「おまえ、なに
しとるんや」と怒られた。ハッとしたぼくは下を見た。チンチンはお湯の外には出て
いなかった。でも、勢いのいいおしっこは、お湯の中から外へもれ出て、水の上でニ
ジのようなおしっこの橋を作っていた。それを見たら、今度はぼくの目から涙がもれ
た。
大冒険旅行
 (1) 私が初めて経験した大冒険旅行は5歳の時だった。といっても、三輪車で
日本を一周したとか、一人で飛行機に乗ってアメリカやイギリスに行ったとかいう大
それたものではない。商店街の端にある自分の家から、向こう側の端にあるおばさん
の家までの、わずか五百メートルほどの旅だった。なぜ私一人でおばさんの家まで行
くことになったかは、私自身は覚えていない。ただ、母からきいた話によると、出張
から帰ってきた父のおみやげを、姉がおばさんの所まで持って行くのをいやがった時
、「じゃあ、ぼくが持って行く」としゃしゃり出たからだそうだ。母は最初、「一人
で行くのはあぶないから…」と止めたそうだが、「どうしても行く」と、私がだだを
こね、ついには泣き出してしまったので、仕方なくお使いに行かせたそうだ。
 (2) おばさんの家には、ずっと商店街の中の道を通って行く。その方が車もこ
なくて安全だという母親の配慮であった。自分の胴体ほどあるまんじゅうの箱をぶら
さげて、商店街の中に入る。いつもは母親に連れられて入る商店街も、一人で歩くと
ぜんぜん違った感じがした。前から後ろから通り過ぎていく大人たちは、まるでジャ
ングルの大きな動物のように思えた。母親に連れられて歩いている時には、目にも付
かなかった店を見つけると、まるで宝物を発見したようだった。自分はまるで、絵本
の中の探検家のように思えたものだった。私と言う小さな探検家が、ズンズン歩いて
行くと、商店街の中の車の通る道路に出た。信号機は赤だが、それを無視して渡る大
人がいる。だけど探検家は、「こんな挑発にはのらないぞ」と青になるのを待った。
道路を横断し、またズンズン歩いて行くと、また車の通る道路に出た。ここには信号
機はない。探検家は幼稚園で教えられたとおり、右と左をよく見て車が来ないのを確
かめる。そして、危険地帯を一気に走り抜けた。
 (3) そしてついに、商店街の端までたどりついた。そこからはおばさんの家が
見える。見るとおばさんが庭の掃除をしていた。「やった!」という気持ちが、探検
家の体中をかけめぐった。探検家はうれしさのあまり我を忘れて、「おばちゃん、お
みやげ持ってきたよ」と、大声を張り上げて走り出した。と、その時、横の小さな路
地から1台の自転車が突然、探検家の目の前に飛び出した。びっくりした探検家はそ
の場で尻もちをついてしまった。そんな探検家を、おばさんはやさしく抱きかかえ、
「よく一人で来たわねえ。えらいねえ」と褒めたたえてくれた。それから探検家はお
ばさんの家に迎えられ、ごほうびに、ケーキとジュースそ、それにお小遣い五百円を
もらった。私の記憶はここまでで、後は覚えていない。
 (4) それから30年が過ぎた今、私は太平洋のド真ん中にいる。目指すはヨット
での単独世界一周。誰の目から見ても大冒険旅行である。たぶん誰も信じてくれない
だろうが、私をこんな冒険旅行にかりたてるのは、幼児の時のあの体験である。そし
て、あの時、体中にかけめぐった感動を味わいたいがために私はヨットを進ませる。
ーーー 四コマ物語 説明
四コマ物語とは
 (1) 四コマ物語とは、私、如月文実(きさらぎ ふみじつ)が新たに開発した
文学形態(?)です。
 (2) 四コマ物語は、起承転落の4小節からなる小説です。
 (3) 題材は、日常生活のできごと・道端で転がっているような話・スポ−ツ・
社会風刺・おとぎ話・パロディ−などさまざまです。
 (4) みなさんも挑戦してみませんか。そして、001、002と、ネットの中に四コ
マ物語ワールドを作ってみませんか。

 特徴、可能性
 (1) 文が短く、読みやすい・読むのにつらくない。
 (2) その中にもジャンルがいろいろある。
(3) ジャンルの中でもバカバカしいのからシビヤーなものまで、バライティー
にとむ。
 (4) ジャンルがいろいろあり、この先好きなものだけ拾い読みできる。
 (5) ジャンルがいろいろあり、老若男女はばひろく楽しめる。
 (6) 読者自信が自由に新たな四コマ物語のサイトを作ることも可能。
 (7) この形式に当てはめればだれでも簡単に小節が書ける。
 (8) この形式に当てはめて、既存の小説を四コマ物語にすることができる(要
約四コマ)。
 (9) これを元に短編、長編小説を書くことも可能。 
 (10) (4)[落]を組替えることにより小説を改造できる(陰、陽)。
 (11) 将来、俳句、和歌のように、「四コマ物語集」ができるかも?
 (12) 将来、四コマ物語の大きなネットができるかも?